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数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために [自然科学]

数字オンチの中でも、統計数字のオンチを扱ったもの。

人が統計数字にだまされるのはなぜか?
前提として、不確実性あるいは不完全な情報から推論するという確率論は17世紀に生まれた新しいもので、扱いになれていないからということがある。

数字オンチの原因
1.確実性の幻をみている。世の中に絶対はないのに絶対なものがあるという思い込み。
 たとえば診断結果が絶対と思うこと。
 「死と税金の他には確実なものはなにもない」・・・フランクリンの法則

2.リスクに関する無知
 不確実性の存在はわかっているが、それがどの程度かわからない。
 たとえば、ある検査で陽性とでたとき、偽陽性はどのくらいでるのか? 有病率はどのグループでどのくらいか」
 リスク・・・経験的データに基づいて確率や頻度のように数字で不確実性をあらわすことができるとき、それをリスクという。悪い結果だけでなく、良い結果もリスク。リスクの表し方には、信念の度合い(主観)、傾向性(さいころの形は対称性だから6の目の確率は1/6)、頻度(さいころを実際にふって目の出る回数を調べ確率をだす)があるが、頻度が得られる場合は頻度を使う。それがもっともよい出発点だから。

3.リスクの伝達ミス
 理解しやすい説明の仕方を選んでいない。
 たとえば、明日の降水確率30%なら、一日のうち30%の時間は雨。地域の30%が雨。明日のような日を考えるとそのうちの30%が雨。どれでしょう?正解は最後だが、どれでも解釈できてしまう。

4.的外れな考え方
 リスクを知っているが、そこからどんな結論あるいは意味を引き出すべきかがわからない。
 例えば、この検査で90%の確率で病気の診断がつきます。といわれたら陽性がでた場合の病気の確率が90%と思い込む。



リスクの伝達ミスが起こる要因は元となる集団がはっきりしないことと、確率を使って表現されること。
自然頻度を使ったほうがわかりやすい。

①一度限りの確率
 降水確率のように、一度しかおこらないものの確率を伝えるとき元の集団がはっきりしないと伝達ミスが起こる

②相対リスク
 ある薬の効果を調べる実験で
 5年間薬を飲んだ1000人中32人が死亡、5年間偽薬を飲んだ1000人中41人が死亡とする。この薬の効果は
 絶対リスクだと、1000人中9人減ったので、0.9%低下
 相対リスクだと、41人から32人に減ったので、22%低下
 要治療数(NNT)だと、1000人当たり9人の命が薬で助かっているから、一人の命を救うために111人の治療がいるから、111人
 薬の宣伝をしたい人は相対リスクを選ぶはず。

③条件的確率
 ある女性が乳がんならば、乳房X線検査で陽性になる確率は90%
 これは検査で陽性なら乳がんである確率が90%という意味ではない。
 有病率と、偽陽性の確率がないと、乳がんである確率は出せない。


数字オンチまたはリスクの伝え方が社会に与える悪影響の例

 乳がん検診は、乳がんの発生を減らすものではない。偽陽性の確率が高く心理的にも生体的にも負担がある。発見されたがんが進行性でない可能性がある、などのデメリットがある。しかし、メリットばかりが強調されて、死亡率が下がった数値だけを患者に伝えている。著者が数値から、絶対リスク、相対リスク、NNTなどで比較すると、30台40台くらいまでは検診によるデメリットのほうが、メリットを上回る。これを自然頻度で医師や患者に説明すれば検診は不必要と判断するひとが増えるのではないか。

 医師の数字オンチの調査。自然頻度とベイズの法則を使うと、医師たちの数字オンチが解消さることを確認。

 HIV検査で偽陽性の可能性があることを知らされず、結果が陽性で自殺するひとがいる。著者は検査機関に学生を送り、その説明を調査。感度、偽陽性、有病率をきくが、正しく伝えた人がいかに少なかったかを書いていた。
感度・・・有病者のうちどのくらいか陽性になるか
偽陽性・・・病気でない人たちのうち、陽性とでるのはどのくらいか
有病率・・・リスクグループ(HIVは性行動などでそのリスクが違う)ごとに、どのくらいの病気の人がいるか。

 O・J・シンプソン裁判で、パートナーから暴力を受けている女性が、相手に殺される確率が計算されていたが、その計算というか説明が間違っていたこと。
 アメリカでは400万人の女性が毎年、夫やボーイフレンドに暴力を振るわれている、1992年に913人の女性が夫に殺され、519人がボーイフレンドに殺された。言い換えれば、250万件から400万件の虐待があるが、殺人は1432件のみ。殺人に至る虐待は2500件につき1件未満と計算される。だから虐待は殺人と結びつかないと説明された。
 しかし、アメリカで殺害される女性は10万人に5人。虐待された女性10万人を考えると、1年に10万÷2500=40人が殺害されていることになる。他に5人がそれ以外の誰かによって殺されると考えられる。そうすると虐待者に殺された女性は9人中8人にもなる。

 DNA鑑定でも不確実性があること。また、グラフの目盛で印象や、結果さえ操作できること。


数字オンチを利用して、不安をあおったり、金もうけをしようとする人たちがいる。だまされないために、相手は都合のよい数字を使っていることを知ろう。元となる集団と、自然頻度で表せば本当の数字が理解できる。
例えば、売り上げが1か月で50%おちたが、次の1か月で60%増えた。この場合元のレベルには戻っていない。
はじめ100なら1か月後50、その1か月後は50×1.6=80となる。

頭の体操
 初めての体験でベース・レートを出す方法
   アダムとイブが、明日も日が昇る確率を出す。一日目は袋に黒(のぼらない)と白(上る)の石を一つずついれる。翌日日が昇れば白をいれる。これを繰り返していくとベースレートが出る。

 ほとんどのドライバーが安全運転な訳
  安全運転の分布が対称でないから
 
 モンティ・ホール プロブレム
  3つのドアの後ろに一つは車、あと二つにはヤギがある。出演者がドアを選ぶと、モンティはヤギのドアを一つ開ける。そして出演者はドアを換えるか聞かれる。この時換えたほうがよいのか?
このとき、車を選ぶ確率はどちらのドアを選んでも1/2と思う人がほとんどだが、そうではない。
頻度で考えると、パターンは3つ。
 ①最初がヤギのドアだった。
 ②最初が自動車のドアだった。
 ③最初がもうひとつのヤギのドアだった。
そして、モンティがヤギのドアをあけたのだから、①と③なら換えると車、②なら換えなければ車。よって変えたほうが確率は高い。(しかし不確実性はある)
また、モンティの立場で考えると
 あたりが3番とすると、出演者が1を選べば、2しか選べない。出演者が2を選べば1しか選べない。出演者が3を選べば1でも2でもよい。3つのケースのうちで選択肢を換えたほうが車になるパターンは2つあるが、換えないで車になるパターンは一つ。



数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために

数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために

  • 作者: ゲルト ギーゲレンツァー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 単行本



タグ:数字オンチ
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