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HELP!キレる子どもたちの心の叫び―青木和雄のカウンセリングファイル [子育て]

著者は大学で心理学を専攻。横浜市の小学校長や教育委員会相談員を経て、教育カウンセラーになったひと。保護司。
著書「ハッピーバースデー」は長編アニメになっている。

著者がカウンセリングした事例から5つの事例をあげて、子供たちの心の叫びを書いている。前半は小説仕立てで、子どもに起こったことを心理描写を交えて取り上げ、後半はカウンセリングをうけている部分からなる。
個人が特定できないように、名前や状況は大幅に変えてあるという。
カウンセリングは人の心によりそい、話を聞くことから始まる。打算のない信頼関係がすべての始まり。

1「三輪車」
未熟児に生まれた娘を平均値にしようと、育児書をよみあさり、あらゆる努力をする母親。ありのままの娘をみて愛することを忘れている。
娘は母親をよろこばせようとするがうまくいかず、自信を無くしやがて母親からはなれられなくなる。
それを見た父親は娘のために離婚を決意するが、母親は自分の努力をみとめてくれないと抵抗する。
三輪車は父親が娘のために買ってきたが、母親は「この子の歳で三輪車にのっているなんて格好悪い」と外で乗ることを禁止する。
カウンセリングでは、カウンセラーがまず母親の努力を認め、ねぎらいの言葉をかける。すると母親は次第に心をひらき、自分がありのままの娘を愛してこなかったことに気が付く、そしてその原因は自分の生い立ちにあると気が付く。

2「カナリア」
若くして夫婦になり、二人の兄弟を育てていた幸せな家庭で、突然母親が死んでしまう。残された3人は助け合って生きていくが、父親は子供に家事をさせるのを不憫に思い再婚を決意する。再婚相手の連れ子(娘4歳)と新しく生まれた赤ん坊(男)で、家庭は賑やかになっていくが、兄弟の弟4歳は、なかなか継母になじまない。
次第に苛立ちをつのらせる継母はついに暴力をふるうようになる。
心配した兄と父親はなるべく弟のそばにいて庇うが、継母の暴力はエスカレートしていく。弟はやせ衰え、壁の前に座り込むようになる。
カナリアは亡くなった母親が買ってきたもので、母親のものがしまいこまれてしまったので、弟はそのカナリアに固執、継母はいらだち「カナリアを触った手で赤ん坊にさわるな」と弟を突き放す。
弟の様子に心をいためた父親がカウンセリングを受けにくる。
先生というものに信頼をもてない父親の話をカウンセラーはずっと耳を傾け。
「一人でぶいぶん悩んだんですね。力を合わせてお子さんを守りましょう。」と声をかける。父親はカウンセラーに信頼を寄せ。その助言で児童相談所に弟を一時保護してもらう。
その後しばらく時間をおいてから母親をカウンセリングに連れてきてもらう。
母親は説教されると思って身構えているので、カウンセラーは時間をかけ話をきくと、母親は「子供のためなら命をすてられるけど、あの子はダメ」と語る。
カウンセラーは「子供のために命をすてられるといえるなんて、いいお母さんだ」と正直な感想をのべると母親は心を開き、自身の虐待経験を語る。母親は「やってみるけど、虐待しそうになったら助けてください」と語った。

3「タイムロス」
中学で教師をしている母親と、小学校の教師だった祖母に育てられている小学校5年生の一人息子。母親は中学が荒れているからと息子に中学受験をさせようと、小さいころからノルマを課して、息子の時間をすべて管理していた。祖母は疑問を感じながらも、娘のいうことをきいて子供の監視役をしていた。
しかし、すべての時間を奪われた子供は心のはけ口をもとめて、成績を落としたり、鉛筆をかんだりする。鉛筆をみた祖母は心の叫びに気が付くが、相談した娘はとりつく島もなく、受験に負けるような弱い子供にそだてたのは祖母が甘やかすからだという。
子どもはとうとう家出するが、父親が子供をみつけてくると母親は「5時間もタイムロスしたのよ、今夜は寝ないで勉強しなさい」と言い放つ。
心配した祖母がカウンセリングを訪れる。祖母は「なんの問題もないいい子だった」と繰り返しながら経緯を語る。
話に耳を傾けたカウンセラーは
「お孫さんは、おばあちゃんに愛されて信頼されていたら、サインをおくったのだ」
「問題のない人間いない。問題は恥ではない。」
「人は愛されて強くなる」
と伝える。母親の「甘やかすな」という言葉に支配されていた祖母は「帰ったら孫をだきしめて守ります」と語る。

4「ヘルプ」
性格が穏やかでのんびりしている良太は、学校でいじめにあっていた。
反抗心をもちながらも、内申点にしばられて受験を控える中学3年生たちは
ストレスのはけ口に良太を使い、教師たちも良太が吃音があったり、のんびりしていることをバカにするような扱いをし、性格が穏やかであるとか、掃除をきちんとするなどの美点をまったく評価しなかった。家では父親が「転校したい」という良太をとりあわず、「強くなれ」の一点張り。追い詰められた良太はとうとう不登校になるが、担任はいじめがあったことを絶対に認めない。一部の生徒が良太の2年の時の担任大沢先生にいじめの実態を話し、「わかってくれそうなのは先生しかいない」と話す。大沢先生は良太の力になろうとするが学校はなかなか動かない。思い余って良太を訪ねるが、良太は会おうとしない。大沢先生が返ろうとすると、良太は窓から紙飛行機を飛ばす。そこには「ヘルプ」と書いてあった。大沢先生は「ヘルプを受け取る」決意をする。
大沢先生がカウンセリングに訪れる。話を聞いて学校内での大沢先生の苦労を悟ったカウンセラーは「立派にヘルプをうけとりましたね」とねぎらう。
カウンセラーは学校に連絡をいれ、いじめの再発防止を促し、良太と母親はカウンセリングに通うようになる。やがてボランティア活動に関心をしめし、その穏やかな性格を活かす道をみつける。

5「ナイフ」
医者の家に生まれた少年は、中学受験をして名門の中高一貫校に入学する。
母親は満足しきっていたが、実は少年ささいなことからは学校で上級生のいじめにあい、カツアゲされていた。家では父親が高圧的であり、妹や母親に手をあげたことがあった。
少年は上級生に対抗するため筋トレをはじめるが、父親は自分への反抗ととって、妨害する。
母親は「小遣いをあげてくれ」とう少年のサインを無視して、成績表を振りかざし、学校や父親、父方の祖父母のいうとおりに少年を成績の良い子に育てようとする。
少年は言葉で母親に反抗するようになり、やがてナイフを持ち歩くようになる。
ある日少年の部屋でいじめの証拠やナイフを見つけた母親はカウンセリングにやってくる。
しかし、母親はカウンセラーの学歴や資格を確認しようとし、名前と学校はいえないと防衛的だった。カウンセラーは母親の話をきき、いままで相談してきたところはわかってくれなかったとう訴えに耳を傾ける(ただし、話し手が十分な情報を与えないのにカウンセリングや助言はできないと思っている)「息子が精神病だ、悪い友達にそそのかされたんだ」と語り、中学受験に向けていかに自分が頑張ってきたかを語る母親。
カウンセラーは「努力なさったんですね。」とねぎらいの言葉をかけると、母親は次第に息子の状態を話してくれるようになる。
カウンセラーは「努力を、息子さんを理解する方に向けましょう」と提案し、「父親と母親の意見が違ってもいい」と話す。
やがて少年がカウンセリングにやってくる。少年の話から、反抗すると3時間も説教されることを聞いたカウンセラーは「よくがまんしているね」と話す。すると少年は「自分がコントロールできなくなるのが怖い」と語った。それから自分の思ったことなどを語ってくれるようになった。カウンセラーと哲学や文学の議論をするようになり、次第に勉強もするようになる。母親は良かったと家庭教師をつけようとカウンセラーに相談するが、カウンセラーは「留年するより、心がこわれたら取り返しがつかない」と諭す。そこで母親は「自分は、子どもに心があることを忘れていた」と話す。
その後、学校とトラブルを起こした少年はカウンセラーのところへきて「学校の先生が理不尽に怒って人間のくずと罵倒したと」伝える。カウンセラーが学校の先生に怒り出すと、「そのとき母親が人間にくずじゃない!息子にあやまれ」と怒ってくれたこと、母親とカウンセラーが怒ってくれたから自分は教師に暴力をふるわずに済んだと伝えた。理解してくれる人がいるとパワーになると少年は語った。


HELP!キレる子どもたちの心の叫び―青木和雄のカウンセリングファイル

HELP!キレる子どもたちの心の叫び―青木和雄のカウンセリングファイル

  • 作者: 青木 和雄
  • 出版社/メーカー: 金の星社
  • 発売日: 2000/11
  • メディア: 単行本



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