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ニセ科学を見抜くセンス [自然科学]

実は科学的な根拠のないニセ科学の説明を集めて解説。
著者は元中高の理科教諭で教科書の作成なども行っている人だそうだ。

第1章 EM
EMとは有用微生物群の英語頭文字。EM菌とも呼ばれるがその名前の菌はない。
元は農業用の微生物資材。
中身は乳酸菌、酵母、光合成細菌などの微生物らしいがはっきりしない。
元はサン興産業という会社が農業用微生物資材「サイオン」の効果確認・使用方法確率を琉球大学の比嘉氏に依頼したのが最初。
EMで土が改良され収量が増えるなどの報告もあるが、EMのせいだけとはいいきれず、農大の見解では効果なし。
EMを河川や海に投入して水質浄化するのは環境負荷があがる可能性がある。プール清掃につかうのも同様。
光合成細菌が入っているので放射能を除去するという説があるが、専門家は光合成細菌にはセシウムを集める能力はあるが除去するかは疑問としている。
1200度で死滅しないとしているが、もしそうなら大発見。いままで確認された超好熱菌は300度で30分耐えたという記録。
EMを消毒に使っていた養鶏場ではサルモネラ菌の検出率が増えた。
科学用語の波動は空間や物体の一部に加えられた状態の変化が次々に周囲の部分にある速さで伝わっていく現象。しかしニセ科学では霊気のようなものであらゆるものが波動をもち共鳴するという。この理論はEMにも使われている。
波動測定器というのは測定者自身の手のひらの皮膚表面の電気信号を測るウソ発見器のようなもので熟練した測定者でないと正しい数値が出ないといわれている。
そのようなものでの測定は科学的説明にはならない。
オーリングテストも古武術の手ほどき系の技のようなもので信頼性のある根拠とはいえない。
抗酸化作用をうたう食品が体内で有益にはたらいているかはっきりしない。
学校や環境活動を行う善意の人が、これらの偽の根拠に踊らされている。

第2章 マイナスイオン
原子にはマイナスの電荷をもった電子を他に与えたり、他からうけとったりするものがある。一般に金属の原子は電子を他に与えてプラスの電荷をもった陽イオンになりやすく、非金属はその逆で陰イオンになりやすい。
陰イオンはマイナスイオンではない。
負イオンはというものある。これはノーベル賞をとった(負イオンでとったのではない)物理学者レナードが水滴が分割されるときに大きい方の水滴はプラスの電荷を、小さい方はマイナスの電気を帯びるので、ただよっている滝のしぶきの微小な水滴がマイナスに帯電していることを発見したもの。人工的につくった水滴も同様。マイナスイオンはこのことらしい。
マイナスイオンを発生させる機器で微粒子をつくっても空気中で中和されてしまう。
マイナスイオンを発生させるとする器具をつくる会社は薬事法違反で営業停止処分をけている。国民生活センターは効果の因果関係がはっきりしないと指摘。景品表示法で合理的な根拠を示す資料が必要になるとブームは去った。
しかしマイナスイオンは健康によいというイメージはいまだにある。
マイナスイオン測定器ではかった値として1立方センチメートルあたり数十万個などとなっていうが、空気の分子数は同じ大きさでは約2690景あるので比較にならないほど少ない。
EMと同じく波動をもちだしたらニセ科学。
トルマリンが-イオンを発生するとか界面活性物質が生成されるといわれているが科学的根拠はない。
ゲルマニウムも同様で、ゲルマニウム温浴は普通の温浴以上の効果はない。国民生活センターがゲルマニウムブレスレット12銘柄を腸さするとベルト部分にゲルマニウムがあったものはなく、7銘柄は金属の粒の部分に微量、まったく含まれていないものもあった。
遠赤外線が細胞を活性化させるも間違い、皮膚から約200マイクロメートルで熱に変わってしまうから
テレビはシナリオに沿ってつくられる、基準は面白いかどうかなので、鵜呑みにしないことが大切。

第3章 水からの伝言
水に「ありがとう」「ばかやろう」というと結晶が変わるというのはまったく根拠がない。
確かにきれいな結晶、きたない結晶の写真はのっているが、言葉で変化したという根拠はない。
これを道徳の授業でとりあげる先生がいるが、やめたほうがいい。
波動測定器MRAであらゆるものの固有の波動を送ることができるとか測定できるという話は、MRAの技術者によるとまったく根拠がなく、表示されるコードからどこにも回路はつながっていないし、微弱な磁気を測定するという回路もない。

第4章 水と健康をめぐるニセ科学
ミネラルウォーターより水道水のほうが安全基準は厳しい。
ミネラルウォーターとなっているがミネラルの量などの基準はない。加熱してあるものすらある。
水のクラスターを説明に使っているのは疑ったほうがいい。水の粒子が小さいという意味らしいがそれを測ることはできない。
磁石で水のクラスターが小さくなるなどというのも確かめられていない。
水素水よりも腸内細菌がつくる水素の方が量が多い。
家に上がり込み水道水に薬品や電極をいれて「水がきたないから」と浄水器や整水器をかわせる商法があるが、塩素と反応させたり、ミネラル成分で電極を溶かしたりしているだけ。浄水器は塩素をとるので薬品と反応しなくなり、逆浸透膜の整水器を使えばミネラルは除去されるだけのこと。

第5章 サプリメント
サプリメントは一般の食品。治療効果があるなら医薬品になっているはず。過度な期待はいない。
体験談は本当にサプリのおかげなのか治療したからなのかわからないので鵜呑みにしない。
本に書いてあっても本当とは限らない。
薬事法や改正健康増進法でこれらの宣伝で健康増進効果をうたうのは誇大広告となり、実際に検挙された例もあって、減ってきている。
癌細胞は健康な人にも発生している。それを免疫系で抑制している。がん細胞を殺すとき活性酸素も使われていると考えられ、活性酸素をすべて除去するのはかえって危険かもしれない。
癌の原因として喫煙と食事(塩分が高い、動物性脂肪が多い)、細菌感染・ウィルス感染は関係ある。しかし食品の焦げは今は原因になるとは考えられていない。
アガリスクは動物実験で抗ガン作用どころか発がんを促進するというデータがある。他のサプリもヒトを対象にした臨床試験の根拠はない。
ベータカロテンについては人で実験したら取っている方ががんにかかる割合はたかかった。果物や野菜をとるとがんにかかりにくいというのはデータして本当だが、サプリより普通の食事でとった方が安全といえる。
放置しても転移しないがんがあるのは本当だが、他はすべて転移しているの根拠はない。=がんもどき理論
酸性食品、アルカリ性食品とは燃やしたあとの灰で調べて判定するが、現在の栄養学では体内で燃焼されるわけではないと採用されていない。アルカリ性食品で健康になるという根拠はない。
酵素はタンパク質なので消化されてしまう。生きて腸にとどいても量は微量で、常在はできない。通り過ぎるだけ。乳酸菌も。
酵素は加熱すると破壊されるからと生食にこだわり、食中毒の危険があるのは問題。特に手作りの酵素ジュースは危険。
遺伝子組み換え食品を食べても健康には害はない。しかし交雑や野生化は問題。

第6章 ホメオパシー・血液サラサラ・経皮毒
ホメオパシーのレメディーはただの水なので害はないが効果もない。
日本ではビタミンKの代わりにレメディーを投与された女児が死亡した例がある。
血液サラサラの根拠になるのはMC-FANという装置の映像。これは医療に仕えるほどの定量性や再現性が確認されていない装置。また玉ねぎのしぼり汁を直接血液にまぜて「サラサラになる」というが、我々は玉ねぎを直接血液にいれないので意味はない。
経皮毒はウソ。化学物質がいけるのは皮膚の角質層まで。体内には吸収されない。
フットバスで足裏デトックスでは電極がとけだして茶色のドロドロをだす装置で「毒がでた」とだますことがあるので注意を。でているのは汗くらい。

第7章 食品添加物
食品添加物には化学合成品と天然物がある。
嗜好性を高めるために使われるのは、調味料・甘味料・酸味料・着色料・着香料・発色剤・漂白剤
保存を高めるには、保存料・殺菌料・酸化防止剤・防カビ材
品質を改良する 糊料(粘着剤、安定剤、ゲル化剤)、乳化剤、PH調整剤
栄養強化 アミノ酸、ビタミン、ミネラル
安全性の試験は動物に与えて毒性を調査している。
ヒトの1日摂取許容量(ADI)は、上の結果だしている。ヒトでは試していないので安全性の根拠としては弱い。
著者はADIよりも基準が厳しい日本生協連の基準を推奨していた。
天然物でも、アレルギー・食中毒・ヒ素やカドミウムや水銀、フグやジャガイモの芽などの有毒化学物質という危険はある。合成の添加物をさけるあまりこれらの危険をおかしていないかは考えてみた方がいい。
塩でさえ大量摂取すれば危険なのである。

第8章 脳をめぐるニセ科学
脳は10%しかつかわれていない、右脳型と左脳型の人がいるというは昔の学説で今は否定されている。
ゲーム脳とはいつもゲームをしている人の脳は認知症患者と同様の脳波の特徴を示すというものだが、科学的検証ではこれは否定されている。脳波の測定方法やゲームばかりしている人というくくりが曖昧としていた。
脳トレについても、比較したのが老人ホームの認知症の入居者なのだが、脳トレ(簡単な計算やかきとり)をした人たちは指導する人たちとふれあったためと考えられる。
またイギリスでコンピュータを使った脳トレを検証したところ健康な人には効果がなかったことが報告されている。

第9章 雲
雲を気で消すマジックは意味がない。雲は種類によって消えやすいものがあり、それを選んでいるから。
地震雲も信頼性のある根拠はない。地震前に地震雲の報告が特に増えたという事実もない。
陰の世界支配機関がケムトレイル(有毒化学物質)をまいているという説は、検出データがない。飛行機雲が数日残ったものと思われる。

第10章 ニセ科学にがまされないために
人はだまされるようにできている。正確な知識や情報があっても自分でゆがめる心理システムがある。
ニセ科学を受け入れてしまう心理的要因
・社会的な情報の無批判な許容
・人の基本的な動機付け・・・説明をつけたいと思う、環境を良くしたいなど
・見かけの実用性・・・血液型性格診断はコミュニケーションに役立つ
・具体的な体験・・・都合のよいところだけを切り取る
認知バイアスの中の確証バイアスとは、自分の信じていることと矛盾する証拠を無視したり曲解する傾向があるだけでなく、自分が信じていることを裏付ける証拠や議論ばかりに目を向け、認知する心的傾向。
私たちの思考は完全ではない。それをわかった上でいろんな角度から柔軟に考えることが必要。


ニセ科学を見抜くセンス

ニセ科学を見抜くセンス

  • 作者: 左巻 健男
  • 出版社/メーカー: 新日本出版社
  • 発売日: 2015/09/29
  • メディア: 単行本



タグ:左巻 健男
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