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ジヴェルニーの食卓 [小説]

印象派の画家たちの周辺の人々が主人公なお話。
画家ではなく、家政婦だったり、画材屋の娘だったり、友人だったり家族だったり。
そういえばみんな女性だった。
大きな才能にひかれていく人たちを通して画家の絵の魅力も味わえます。
読んでから絵をみると、楽しいかも。

印象派は、戸外で製作するとか、あたらしい手法で絵をかく、それまでとりあげられなかった被写体を書くなど、それまでの絵画の常識にとらわれない表現をはじめた人たちで、当時はかなり叩かれたらしい。
しかし、次第に認められ画家たちも晩年は裕福に暮らしていいたらしい。

〇うつくしい墓
南仏のニースに暮らす絵の好きな家政婦。
絵画の収集をしていたマダムにやとわれていたが、マダムがマティスにマグノリアの花を送ったときお使いをしてから、マティスの元で家政婦として働くことになる。
マティスはこのとき80歳を超えていて、車いす生活だったがステンドグラスの製作を続けていた。
マンションは、マティスの美意識がいきとどいていて、主人公はそれを崩さないように掃除するように求められる。
なんか水差しの水の位置まで意味があるそうな。
すっかりマティスの製作というか生活にみせられ、ピカソがマティスを訪問したときにはいたく感動し、夢中になっていた。
やがて、世話になったマダムが危篤状態になり、マダムのところへ帰る。マダムは亡くなるが遺言で収集した絵画の行き先について細かく指定しており、その責任者となて弁護士と働いた。彼女には遺産はまったくなかったが、マダムの親戚を名乗る人たちからは嫌がらせをうけた。
主人公がそうしている間にマティスもなくなり、戻る場所はなくなってしまう。
マダムの仕事がすべて終わると、主人公はマグノリアの花をもってピカソを訪問する。ピカソは親友マティスの訃報にもいっさい反応していなかったのだ。
主人公はピカソはマティスの死をうけいれていないのだ(受け入れられない)でいるのだと悟る。
そして自身はマティスのデザインしたヴァンスの礼拝堂で修道女になった。まだ21歳だったので周りはとめたが、そうとしかおもえなかったのだ。先生のお墓はここだとそう思えたのだ。
物語は、主人公が高齢になったころ、ラ・フィガロの取材をうけて、自身がマティスのアトリエで過ごしたひと夏について語る手法をとっている。
明るく美しいニースの風景とマティスの作風がかさなって楽しい。


〇エトワール
エドガー・ドガのアトリエに残されていた作品が展覧会で披露されることになった。印象派の画家を早くから支援し、経営難をのりきったポール・デュラン=リュエルの画廊である。そこにアメリカ人女流画家メアリー・カサットがよばれてくる。
彼女が見せられたのは14歳のバレリーナの像。あまりに生々しく発表当時は叩かれ、買い手もつかなかった。
カサットはこの像を製作していたころのドガのアトリエに出入りしており、モデルの少女ともあっている。ドガは貧しい踊り子たちの絵を何枚も描いていて彼女もその一人だった。少女たちがオペラ座の舞台にたちエトワールになろうとするのは、金持ちのパトロンをみつけるためだ。家が貧しい彼女だちにはほかの方法がない。
ドガのモデルをしていた少女もそんな一人だったが、モデルをつとめるうちにドガに想いをよせ、なんでもするからアトリエに来させてくれといったが、ドガは「エトワールになれ、変なパトロンになびかなくていいように、像がうれたら代金はやる」と拒絶した。
結局像はうれず、少女もエトワールになることはなかった。
リュエルはそのときの約束があるので、像が売れたら代金を少女に払いたいと考え、事情をしっていそうなカサットをよんだのである。
しかし、カサットも少女のゆくえについてはしらなかった。


〇タンギー爺さん
画家セザンヌにあてたタンギー爺さんの娘さんからの手紙形式でかたられる。セザンヌの方の返事はのっていないので、そこは想像で補うらしい。
タンギー爺さんは画材屋をやっていたが、貧乏な画家たちがお金がないので、絵の具の代金に彼らの絵をもらっていた。これがコレクションみたいになっていたわけだ。
セザンヌもそうした画家のひとりだったが、タンギー爺さんは彼の才能をみとめ絵を大切にしていた(歪んだリンゴとか)
手紙は最初、故郷に帰ったスザンヌに絵の具の代金を送ってくれと催促するものだった。セザンヌの実家は銀行家で裕福だったらしい。結局セザンヌの父親はなくなり遺産を相続し、ツケもすべて小切手で払ってくれたらしい。
その後、セザンヌがなかなかパリに戻れないでいるうちに、タンギー爺さんはなくなり、妻と娘が残された。二人は父親のコレクションの絵画を競売にかけたが、ほとんどお金にならず、店をたたんで狭いアパートに引っ越した。
若い画家たちがタンギー爺さんを頼ってくるが、今は何もしてあげられないと手紙は結んでいる。


〇ジヴェルニーの食卓
クロード・モネが暮らしたジヴェルニーで献身的に彼の製作を支えたのは義理の娘ブランシュだった。
二人があったのはブランシュが11歳のとき。モネは父エルネスト・オシュデの気に入りの画家で一家の夏の別荘に絵をかきにきたのだ。
そのときからブランシュは製作するモネのとりこになった。
やがてエルネストは破産。なぜかモネの家に一家で身をよせた。夫婦と子供6人!
モネには病弱なカミーユという妻がいて、息子もいたが、カミーユは幼い男の子二人を残して死んでしまう。エルネストも妻と子供を残してベルギーにいってしまい。奇妙な共同生活が始まる。
貧しいなかでも母マリアは一家のために手料理をつくり(かなりの腕だったようだ)、モネも必死で製作をしたり、借金を申し込んだり生活を支えた。ブランシュは貧しいながらもモネの製作の手伝いができてしあわせだった。カミーユが亡くなったとき製作できなくなったモネを支えたこともあった。
その後エルネストからは戻ってくるように手紙がきて、マリアと子どもたちは今の生活を続けたいと思ったが、世間からモネが攻撃されるのをはばかって出て行こうとする。しかしモネは止めて、みなで暮らそうという。
結局エルネストが亡くなるまで二人は結婚せずすごした。
ジヴェルニーの家はモネが見つけてきた土地にすこしずつ家や庭を整備したもので、物語のときには子どもたちはみな巣立って、残っているのはブランシュと使用人たちだけになっていた。ブランシュはモネの勧めでモネの長男ジャンと結婚するが、マリアもジャンもなくなりモネのところに戻っていた。
物語は晩年のモネがフランス政府とかわした睡蓮の絵の製作中に視力を失い、なんどもくじけそうになるのをブランシュと、モネの親友でフランスの元首相クレマンソーが励まし、支えるという場面と、ブランシュの思い出話が交錯して語られる。
クレマンソーはたびたびモネの家を訪れ昼食をともにした。ブランシュは母の残してくれたレシピをつかって彼をもてなし、クレマンソーもジヴェルニーの食卓が大のお気に入りだったのだ。
光あふれる家、食卓。あたたかい手料理。そんなものが目の前にうかぶお話でした。


ジヴェルニーの食卓

ジヴェルニーの食卓

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/03/26
  • メディア: 単行本



タグ:原田 マハ
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サラバ! [小説]

このブログは要約なので、かなりネタバレです。
読もうかなって思っている人は、この先はよまないことをおすすめします。














37歳の主人公、今橋歩(あゆむ 男性)が語る自分の半生という形式。
両親の離婚。エキセントリックな姉。イラン生まれでエジプトで小学生時代を過ごしたという華々しい?生い立ちを持つ。主人公の目線で語られる家族史でもある。

歩は美人で自己中心的な母親と、ハンサムで(多分仕事ができるというかなんでもできる優秀な人)静かな父親との間に長男として生まれた。

姉がいるが、美人な母ではなく、父に似ていて、自己顕示欲が異常に強い。小さいころから反抗的で、常に自分をみてくれないと気がすまないタイプと歩はみていた。
小さいうちは泣きわめいて暴れて注目を集めようとするので、歩は自然と嵐が過ぎ去るのをまつ受動的ないい子になった。
小学校の高学年くらいになると、部屋に引きこもって母親の食事を拒否。ヨーグルトやプリンしか食べないのでがりがりに痩せていて、クラスメイトから「ご神木」と呼ばれ傷ついていた。

姉がどうであろうと、母もまた女であることをやめない人で、自分磨きや凝った料理、家を飾ることなどに夢中で、二人の相性は最悪。
後に両親は離婚するが、歩は父を「逃げた」と表現している。

父は海外駐在員で、歩はイランで生まれた。1歳半でイラン革命がおきて帰国。その後小1まで日本で過ごし、再び海外駐在になった父親について一家でエジプトに住むことになる。
エジプト滞在中に、両親は離婚。
日本に帰り母親の姓になって、小6から公立の小学校に編入した。

歩はつねに周りに溶け込もうとするタイプで、姉が目立つだけにその影響をうけないよう、友達関係や習い事に気をつかい、目立たないようにするのが上手になった。
本人はかなりの美少年で海外育ちという経歴だが、それをひけらかしたりしているととられないように一生けん命である。

姉は注目を浴びたがるので日本に帰ったときも「やらかして」登校拒否になり、その後高校へもいかなかった。歩は帰国子女の多い私立にいれれば少しはよかったかもと回想していたが、母親は自分のことしか考えていなかった。

離婚しても、歩たちの生活は父からの仕送りでまかなわれており、母親は働く必要がなかった。そこで彼女がしたのは恋人をつくることだった。

歩が素晴らしい人として、好きになったのはエジプト時代の友人ヤコブ(コプト教徒であった)と、高校のときの同級生須玖(すぐ)のこと。彼らは決して恵まれた環境にいなかったが、自分をもち自分らしく生きていた。ちなみに両方とも男の子。
歩は、容姿がよく、それなりにもてたし女の子ともつきあったが、実際彼女たちより男友達の方が大事だった。

一方で、母の実家がある町内に矢田のおばちゃんという人がいて、歩たちの祖母と親しかった。イランから帰ったとき、一時矢田のおばちゃんのマンション(かなりのボロアパート)にいたこともあり、姉も歩も矢田のおばちゃんになついていた。矢田のおばちゃんは背中に入れ墨のある人で、なぜか近所の人たちからいろんな相談事をうけるような人格者とみられていた。
歩たちがエジプトにいっている間に、この矢田のおばちゃんの家にサトラコヲモンサマという祭壇ができていて、多くの人がお参りに来ていろんなものを置いていくようになった。おばちゃんは放っておいただけだが、お参りをする人は多くなり、古くからのおばちゃんの知り合いがそれを使ってお祈りをする場所をたてた。信者?は増え続け、お参りをする建物はどんどん大きくなった。矢田のおばちゃんは祭壇のなくなった矢田マンションで相変わらずの暮らしをしており、お祈りに来た人たちが置いたものはすべてサトラコヲモンサマの建物などになっているらしかった。
歩の姉もこのサトラコヲモンサマにお祈りするようになり、矢田のおばちゃんの直接の知り合いであることから尊敬すらうけるようになっていた。なぜかサトラコヲモンサマでは矢田のおばちゃんに直接声をかけたりしてはいけないことになっているが、姉は昔からの知り合いとして付き合っていたからだ。

歩の母親は三姉妹だったが、長女は羽振りのよい自営業者と結婚。息子ふたりと娘がいる。次女は結婚せず母親と暮らしており、夏枝という。本や音楽といった芸術的なものを愛し、自分からなにか意見をいったりしたりする人ではないが、辛抱強く誠実な人である。歩や姉にも、自分の気分でなく、そういう意味でよりそってくれていて、二人とも夏枝おばさんになついている。
歩の母は末っ子である。
祖母は小町といわれた美人で、祖父と結婚したのは「顔で選んで失敗した」といっていた。貧乏はしたが3人の娘を小さな店をしながら育て(なぜか夏枝だけが手伝った)、今は娘たちの結婚相手の仕送りで暮らしている。
この夏枝おばと、須玖は、芸術を愛するという一点でとても気があっていた。

歩の親友須玖は阪神大震災で傷つき、不登校になってしまう。
また、オウム真理教の事件でサトラコヲモンサマは不審な団体とみられて閉鎖。
姉はこころのよりどころを失って部屋からでてこなくなった。
矢田のおばちゃんの説得で姉は再び海外駐在員になった父とともにドバイに旅立つ。このとき引きこもっていたときの髪があまりにひどいので坊主にしたのだが、彼女はしばらく坊主頭のままだった。
歩は逃げるように受験勉強をして東京にでた。

一人暮らしをするようになり、歩は女の子と遊びまわった、1年ほどでおちついて、大学の映画研究会に入る。そこにはオタクな男の子たちばかりで、居心地がよかった。しかし、のちに後輩の鴻上という女性がはいってきて、部内の複数の男性と関係をもち、居心地のよかった部は失われてしまう。
鴻上と歩はなぜか気があって飲み友達になる。
のちに気が付くのだが、歩は鴻上に好意をもっていたのだ。
しかし、ビッチと呼ばれた鴻上を好きになる自分を許せず、気持ちに気が付かないふりをした。歩が選んだ恋人はいつも美人で年上の仕事のできるタイプだった。でも最後はいつも別れていた。

不況だったせいもあり、歩は就職しなかった。バイト先のポップを書くことからはじめて、ライターになった。20代はくる仕事をこなしている間に売れっ子ライターとして過ぎていった。
姉は父とともに日本に帰り、アーティスト・ウズマキとして活動していた。しかし、歩の恋人がウズマキの写真をとって公開したところ、容姿について中傷され、そのなかに「ご神木」という言葉をみて姉は傷ついて活動をやめた。
歩の父は日本に帰ってしばらくしてから会社を退職し、山奥の寺に出家した。退職金はすべて歩たちにわけられた。父は離婚してからほとんど食べず修行のような暮らしをしていたのだ。

そのころ姉の取材をしたくない歩は「母が病気だ」といって帰省していた。
すると、祖母がなくなり、続いて矢田のおばちゃんが亡くなった。母は祖母が亡くなってすぐ再婚した。そしてまた離婚した。
矢田のおばちゃんは姉に遺骨を散骨するようにと遺言しており、姉はおばちゃんの骨と遺品をもって旅立つ。

歩は30歳を超え、仕事はいきづまっていた。専門分野ももたず、情熱もないため、若いほかのライターに仕事はいっていた。さらに自信をもっていた容姿も、髪が抜けるという事態におちいり、歩は帽子を手放さなり、外にもいかなくなる。
そのころ取材で須玖と再会する。須玖はニューヨークの同時多発テロのあと、死のうとして富士山をめざし、最後に食べたティラミスで思いとどまり、今は「てぃらみす」という名前で芸人をしていた。二人はまた話をするようになり、そこに偶然であった鴻上が加わり、歩は二人とつきあうことで、自分が輝いている時代に浸って慰められた。

そんななか、姉が夫ともに帰国した。
チベットであったというユダヤ教徒の夫はポーランドの血がはいったアメリカ人だった。姉はサンフランシスコで夫暮らし、ヨガを教え、安定していた。矢田のおばちゃんの遺言「信じるものをみつける」ができていたのだ。37歳の姉は少し肉がついて(ベジタリアンなのでそれほどでもないが)、落ち着いていてそれはアジアンビューティーといえるほどだった。母とも屈託なく話、二人はいっしょにヨガをやったりするのだ。
そして歩に、歩がいつもほかの人に注目して生きていることを指摘し、「信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」という。歩は逃げた。

しかし、東京に戻ると鴻上と須玖はは結婚し、歩はますます追い詰められる。
このときはじめて自分が鴻上を好きだったが、鴻上がビッチと呼ばれているから自分の彼女としてふさわしくないと決めつけて心を偽っていたことを思い知る。そして鴻上の過去を冗談めかして須玖に告げたりして自己嫌悪してしまう。
歩は一人で仕事もせず、父と矢田のおばちゃんの遺産を食いつぶしながら図書館で小説を読み始める。

姉の手紙を読んで歩は父に会いにいくことにする。
そこで語られたのは、父にはもともと婚約者がいて、母はその後輩だったこと。でも父と母は恋におち、婚約者にあやまり会社をやめて一緒になったこと。エジプトに来た手紙の主は婚約者で、父とわかれてから一人で同じ会社に勤めがんで亡くなる寸前だったこと
。父が罪の意識から幸せになることを放棄したこと、犠牲にした先輩の分も自分が幸せになろうとしていたこと、二人がすれちがってしまったことを知った。もともとから歩の家族は不安定で、それを感じていたのは姉だったのだ。
父は、今では死んだ婚約者を不幸だと思うことが不遜だったと思うようになり、解放されていた。幸せになることから遠ざかろうとして幸せになり、母は幸せになろうとしてかえって幸せから遠ざかっているようだった。

歩があいかわらず図書館通いの日々を送っていると姉から連絡がきた。アラブの春だった。
エジプトでコプト教徒の教会がもやされたときいた歩は、おもわずエジプトに飛んでいた。
奇跡的にヤコブのおじさんと再会し(歩たちのフラットも近所のホテルもそのままあった)ヤコブと再会する。ヤコブは3人の子どもの父親になり旅行代理店の支店長をしていた。英語が使えるようになっていた。ヤコブと彼の両親は歩を歓迎してくれる。
しかし、歩はあのときの一体感から遠ざかった自分たちも感じていた。

ナイル河の近くまで二人はいって、別れた日と同じように座った。そして、そのころ使っていた言葉「サラバ」をヤコブが口にすると、二人は涙を流す。
歩は信じるものをみつけた。
そして小説を書くと姉に宣言する。
書くのは家族のことだ、姉や母、父に話をきき、それをもとに話を再構成して3年かけて完成した。それがこの小説ということになるらしい。

物語の終わりは、歩がイランに行ったところで終わる。プリントアウトした物語をイランで読むためだ。
歩は物語には創作があって、実は自分は女かもといっている。実際作者は女性でイラン生まれだそうだ。
そして、この物語から「あなたの信じるもの」をみつけてほしいと結ぶ。
タイトルは「サラバ」


サラバ! 上

サラバ! 上

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/10/29
  • メディア: 単行本



サラバ! 下

サラバ! 下

  • 作者: 西 加奈子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/10/29
  • メディア: 単行本



タグ:西 加奈子
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"十津川警部 長良川に犯人を追う (講談社文庫) [小説]

要約のブログなのでネタバレあるので閲覧注意です。




上野公園でホームレスの段ボールから出火して16人が死亡。
たまたまホームレスの取材にきていた新聞記者が出火を目撃。
その様子から爆発物が投げ込まれた疑いを持つ。また現場でとった写真に不審な二人の人影があった。
しかし、事件はホームレスの失火として片づけられてしまう。
新聞記者は火元になったテントにいた男の身元を調べる。男は鵜飼いで有名な岐阜県長良川の出身と思われた。

調べている間に新聞記者は何者かに襲われてけがをする。しかし彼はなおも事件を調べようと休みをとって長良川に向かう。であった人たちはみな、死んだ男を知っているようなのに何も教えてくれないどころか怒り出す、または姿を消す。
東京に戻った記者は射殺される。

十津川警部は記者の事件をしらべるために、相棒のカメさんとともに長良川に向かう。
ようやく死んだ男の身元を探り出すと、地元の有力者で、2年前鵜飼いの最中に長良川に転落し、そのまま行方不明になったことがわかった。警部はこのとき、何者かが、ホームレスになっていた男=小野田というを殺そうとしたが、小野田は生き残り、そのまま家に帰らずホームレスになっていたのを発見され、再度狙われたものと推理。しかし、なぜ最初の殺人未遂がおきたのか?犯人がだれなのかわからない。

長良川の事件のとき、小野田と同じ船に乗っていた、地元の参議院議員、有名な寺の住職(小野田家は檀家)、小野田の後妻、地元新聞社の社長らが容疑者としてあがっていたが、だれからも有力な証言がえられない。
関係者が地元の有力者で県警の本部長の知り合いであることから岐阜県警の協力も得られない。

そんな中、事件について知っていると思われ、新聞記者に質問をうけてから姿を消していた仲居が殺害され、飛騨高山の朝市の場所で発見される。
十津川警部は、彼女に会える寸前までせまっていたが失敗におわった。
そこでカメさんの提案で、鵜飼いの事故の後、地元新聞社を辞めた記者をあたり、事故のことでなく小野田本人のことを質問することで突破口が開ける。

小野田は事業家としてやり手で財産を築いていたが、自分の能力を頼んで威張り散らす人物だった。選挙や寺の霊園事業に出資していたが、口もだすほうで、事件のとき一緒に船にのっていた有力者たちはみな彼を疎ましく思っていた。浮気をし、家でも横暴で前妻はノイローゼになっていたし、後妻も彼を疎ましく思っていた。

十津川警部は、彼らが共謀して事件を起こしているので誰からも証言が得られないと判断し、岐阜県警の中で唯一十津川警部達に協力的だった、児島警部に関係者に脅しをかける役を依頼する。
しかし、児島警部は自分の拳銃で殺されて発見される。

児島警部を殺したのは、地元の派出所の警察官だった。彼も事件について口をつぐむように言い含められお金をうけとっていた一人だったのだ。十津川警部は、その可能性を児島警部に伝えなかったことを後悔する。

派出所の警察官は退職届を出して逃亡を図ったところをつかまり、十津川警部に説得されて真実を話す。児島警部を殺害された岐阜県警はようやく本腰をいれ、有力者たちを次々と逮捕拘束する。
記者会見で責任問題を追及された県警本部長は退職する。

事件がおちついたのを見届けた十津川警部は、東京へ帰る。

十津川警部 長良川に犯人を追う (講談社文庫)

十津川警部 長良川に犯人を追う (講談社文庫)

  • 作者: 西村 京太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/06/15
  • メディア: 文庫



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影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫) [小説]

多くの魔法使いを生んだ島ゴントの山間の村にゲドは生まれた。小さい時の名前はダニー。母親は1歳になる前に死んで、鍛冶屋の父親に育てられた。死んだ母親の姉が呪い女で、呪文を唱えていたのを見たダニーは、勝手にまねをして痛い目にあう。しかし、これで少年の才能がわかり、叔母が一通りのことを教えてくれた。ダニーは優秀で、叔母の他にも呪いをするひとたちを訪ねて多くのことを教わった。

ある日、村はカルガド帝国の戦士に襲われた。ダニーは霧を発生させ、さらにもの隠しの呪文をつかって村の人たちの攻撃を助けた。おかげで村の犠牲は最小限で兵士たちを追い払うことができた。しかし、ダニーは大きな力を使ったために魂がぬけたように反応がなくなってしまう。

ダニーのやったことは遠くの町まで広まり、ゴントに住む有名な魔法使いオジオンがやってくる。彼は地震を沈めるほどの魔法使い(呪い師よりも格上)だった。彼のおかげでダニーは正気に戻り、彼の弟子となって故郷を離れる。
ゲドという名前はオジオンが与えたもので、この世界の人はみな通り名と真の名をもつのだが、真の名はある程度大きくなってから与えられるものである。真の名を知ると相手を支配できるので、それはめったに明かされない。ゲドも普段は通り名を使う。大人になってからはハイタカと名乗った。

オジオンのところでの修業はゲドにとって退屈だった。本物の魔法使いはめったに力を使わない。オジオンは辛抱を教え、聞こうというならだまっていなければという。
ゲドは何も教われないを不満に思いながらも、神聖文字の習得に励んだ。

ある日薬草摘みにでかけたゲドは、美しい少女にであう。彼女は魔女の母親をもつ領主の娘で、ゲドをそそのかして魔法を使わせようとする。彼女の口車にのったゲドは、勝手に師匠の魔法書をひらいて、影の塊を呼び出してしまう。オジオンが帰ってきて影を追い払ってくれるが、その後ゲドに、残って修行するか、ローク島の正式に魔法使いになる学院にいくか選ぶように言う。ゲドはローク島を選び、オジオンと別れる。
ゲドはいつの間にかオジオンが好きになっていたことに、あとで気が付く。

魔法使いは尊敬されているので、オジオンの頼みでゲドはローク島まで船でいけることになった。ゲドはまだ風を使うことはできないので、船の仕事を手伝って過ごす。船は嵐に会いながらもなんとかローク島に到着する。

魔法の学院でゲドは、ヒスイという若者に案内されるが、彼とは能力の競争相手になり、うまくいかない。一方でカラスノエンドウとう若者とはウマが合い仲良くなった。
二人とも2年先輩だ。

ゲドは魔法の習得に集中し、人より才能があると認められるようになった。
学院の9人の長たちが、それぞれの科目を教えてくれるのだが、その考え方は様々で、ゲドの才能を愛して積極的に教えてくれるものもいれば、自然の均衡をくずすといって、人間的に成長したとみなさないと教えない長もある。

勉強の合間にオタクとう小動物になつかれてヘグと名付けてペットにした。
冬至にオー島の領主が美しい妻をつれて招かれる。領主地震が昔学院の生徒だったのだ。ヒスイはこの女性に声をかけ目くらましの魔法を披露する。
ゲドは気に入らない。

ゲドとヒスイの対立はある日技比べまで発展してしまう。ゲドは力をみせつけようと古代の人物「エルファーラン姫」を呼び出そうとする。術は成功したかにみえたが、そのときオジオンのところで呼び出した影があらわれてゲドにとびかかった。カラスノエンドウとヘグが助けようとするが動けなくなってしまう。
そのとき学院長と長たちがあらわれてゲドを救うが、ゲドは瀕死の状態になり、その夏から次の春までを寝込んですごした。ゲドを救ったのと引き換えに学院長は亡くなり、影はどこかに逃げ出す。

新しい学院長は、ローク島で力をつけて影と対抗できるようにするようにいう。影はゲドの無知と傲慢、憎しみから生まれたものだと。
カラスノエンドウは正式な魔法使いになり、島を離れることになる。彼は旅立つ前に友情の証として真の名「エスタリオル」を教えてくれる。ゲドも真の名を名乗る。

ゲドは修行を続け、正式な魔法使いになる。派遣されたのはロー・トーニング島。本来学院をでた魔法使いが派遣されるような大きな島ではないが、この島の西ベンダー島にに竜が住み着いて、卵を産んだたため、島民から魔法使いを置いてほしいと要請があったのだ。
ゲドはここで竜を警戒しながら、島民からの困りごとの相談にも対応する日々を送る。漁師のペチバリと友人になり船の操り方を教えてもらったりもした。
ある日ペチバリの子どもが病気になる。最初は祈祷女がよばれたがよくならず、ペチバリはゲドを頼る。ゲドは救えないことがわかっていたが、あえて危険を冒して子どもの魂を追いかけ、黄泉の国にいってしまう、戻ろうとしたところで影に遭遇し、死にかけるが、祈祷女がゲドが魔法使いなので、死んだものと扱わず、家に戻してくれたところをヘグが舐めてくれたのでこの世に帰ってくることができた。

ゲドは影につきまとわれていることを自覚する。
そして、島民に影響が出る前に島をでることを決意。そのために竜退治にいくと言い出す。島民たちは止めたがゲドはでかけて、子どもの竜5匹を魔法の力で殺し、竜に対してはローク島で読んだ古代の文書から推測した竜の名前を呼んで対抗する。竜は宝石をやるといったり、影の名前を教えてやろうと誘惑するが、ゲドはそれを断り、竜と交渉して島民たちの安全を確保する。島に戻るとゲドの魔法使いとしての名声は高まった。

ゲドはローク島に向かうが、島を守る魔法のためにたどり着くことができない。影に追われるゲドはすでに警戒対称だった。ゲドはあきらめて運の導くままに、影から逃げることにする。たどり着いた港町でゲドは正体不明な男から、「影と戦う剣が必要ならテレノン宮殿へいけ」といわれる。テレノン宮殿はオスキルにあるという。

ゲドは船賃代わりにオールを漕いでオスキルを目指す。以前ローク島へ渡ったときと違って、今度の船は仲間意識がなく、ただ金で雇われていやいや働くものが多く、以前のような楽しい船旅にならなかった。スカイアーという男は特にゲドとおりあいがわるかった。

船が到着してからテレノン宮殿への案内をさがしていると、スカイアーが「おれもそっちにいく」といったので、ゲドは気が進まないが案内を乞うことにする。しかしスカイアーは影に乗っ取られていて、途中でゲドに襲い掛かる。ゲドは魔法使いの杖で応戦するが、杖がやけて取り落としてしまい、逃げ出す。そしてあかりをたよりに逃げ込んだところがテレノン宮殿だった。

宮殿の妃は学院でヒスイが術をみせたオー島の領主だった。セレットというとても美しい人である。彼女はゲドをもてなし、宮殿の宝であるテレノンという宝石をみせ、自分も主人も宝石を操る力はないが、ゲドには宝石を操る力がある。この宝石に聞けば、必ず答えをえられるから、影の名前をきいてみろとけしかける。

ゲドはすんでのところで自分を保ち、誘惑にうちかった。すると王がおらわれ、妃にたいして「自分と、その魔法使いを操って、石の力を使おうとたくらんだ」といって、妃に罰を与えようとする。ゲドは妃をかばって、二人は変身して館を逃げ出す。途中妃が召使たちを無慈悲に殺すのをみたゲドは、彼女が昔、自分をけしかけて影を呼び出す魔法を使わせた少女であり、すべては彼を支配するためのたくらみだったと気が付く。

館をでるとペットのオタクが死んでいるのを見た。ゲドはそこから伸びていた草を使って魔法使いの杖をつくりだす。ゲドはこの杖で攻撃を防ぎながらハヤブサに変身して逃げ出した。カモメに変身して逃げようとした妃は追手に殺される。

ゲドはオジオンのところにハヤブサのまま飛んでいく。しかし、あまりに長い間変身したので自分に戻ることができなくなっていた。オジオンは彼を3日かけてもとに戻す。
これまでのことを話したゲドに、オスキルは「向きなおる」ことをアドバイスする。影から逃げるのではなく、ゲドが影を追うことで、行く道をきめられると。
ゲドは過去に2回戦ってかなわなかった、もし負けたら支配され、自分の力が悪用されると恐れる。しかし、逃げ続けてもやがて体力を使い果たし、もっと不利な状況で戦うことになると気が付き、オジオンの助言をうけいれる。

季節が冬至に近く、ゴントをでる船がなかったので、ゲドは自分で船を調達して、ならった方法で補修し、さらに魔法もつかって船出する。海上で対戦すれば、悪霊はでないので、天候だけに気を配ればよく、いざとなれば一緒に海に沈むことができると思ったのである。
海上で影を呼び、対決すると影は逃げ出した。ゲドは追いかける。

しかし、影を見失い。嵐にあって島に打ち上げられる。
島にいたのは掘っ立て小屋に住む、老人と老女だった。老人はカルガド語しか話せず詳細はわからなかったが、持ち物から二人はカルガド帝国の高貴な家のうまれだったのが、島に放置されたらしかった。老女はゲドが、食べ物をわけてあげると、感謝のしるしとして腕輪の半分をくれた。これはのちの冒険のときに使われることになる。
ゲドは島の材料で船をつくって(材料がたりず、ほとんど魔法をつかった)島を脱出する。二人を連れ出そうとしたが、二人は拒否した。

ゲドはなんの確信もなく直感で進んでいくと、突然影が船の上に現れる。ゲドはたじろぐことなく影におそいかかり肉と命でたちむかった。魔法はつかわなかった。影は消えてしまった。ゲドは入り江の住民たちに助けられた。彼らの魔法使いの杖を恐れ、打ち解けなかったがもてなしてくれた。久しぶりに人の声をきき、火で体をあたためたゲドはほっとする。

この島で今度はちゃんとした材料を使った船をもらい(お礼は魔法でそこひを治してやった)島人の病気を治し、ヤギや羊が太るように魔法をかけ、道具がよく働くように、家が火事にならないように神聖文字をかいてあげた。島民は彼になついて、歌をききたがったがゲドは、影を追ってたびだった。

影はゲドに似た姿を残していた、ゲドはその情報をもとに影をおいかける。イフィッシュ島では、魔法使いがすでにいるからと冷たい扱いをうけるが、その魔法使いこそカラスノエンドウで、ここは彼の故郷だったのだ。二人は再会し、カラスノエンドウはゲドを手伝って旅にでる。ゲドは彼の暮らし、一緒に住む妹のことを思って止めたが、カラスノエンドウは「魔法使いが偶然会うなんてありえない。最初に立ち会った自分が最後をみとどけるのだ」といってついてくる。
このときヒスイは魔法使いにならず、オー島のオー・トクネの領主のおかかえ呪い師になったことを聞く。
またカラスノエンドウの妹ノコギリソウと魔法の力のことについて説明するがよくわかってもらえない下りがある。均衡を保つこと、魔法の力の限界についてだった。

ゲドはカラスノエンドウと話して、影の正体を考える。そいつは昔ゲドの真の名を知っていて使い、ゲドに勝ったことがあるのに、ゲドが立ち向かってからも、名前も使わず逃げ出したのだ。

二人は悪天候の中を百マイル旅してソーダース島についた。水と油を塗った帆布を調達した。ゲドは魔法を使いたがらなかった。カラスノエンドウもそれに従った。呪文が均衡を崩すことを恐れたのである。二人は南に、ついに地図にのっている果ての島からさらに先に進む。カラスノエンドウは天気の魔法がきかなくなってきているのを恐れたが、ゲドは必ずこの先に影がいると断言し、逃がしてはならないという。地図にものっていない。現地の人たちが、この先になにもないという海の上で二人は影を見つける。そしえ突然陸地がらわれた。そこでゲドは影と対決する。影は最初ヒスイの姿をとりペチバリの姿をとる。しかしゲドはひるまず自分の杖を白くかがやかせて近づいた。そして相手の名前を「ゲド」と呼ぶ、同時に影も「ゲド」と呼び、二人は一つになり、光と影が溶けあった。
光が消えたのをみたカラスノエンドウが友人の死を救おうとかけつけようとすると、砂地だったのが海にもどってしまう。カラスノエンドウは海に落ちたが必死で船にもどり、海に浮かんでいたゲドを救う。ゲドは杖をにぎりしめてたちあがり、「終わった。傷はいえた、俺はひとつになった」と泣き出した。

カラスノエンドウはゲドが勝ちも負けもせず、自分の死の影に自分の名前をつけて、とりこんだ。自分自身の本当の姿を知るものは自分以外のどんな力にも利用されたり支配されたりすることはない、そういう人間にゲドがなったことを知る。

帰りは魔法を使って海水を真水に変えたり、魚を釣ったりしながら16日かけて戻り、カラスノエンドウの故郷、ノコギリソウのところへ戻った。


影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: アーシュラ・K. ル=グウィン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/01/16
  • メディア: 単行本



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浮雲 (1951年) (新潮文庫〈第279〉) [小説]

原作は明治19年に二葉亭四迷が坪内逍遥にであったころにかかれた。間をあけて第3篇まで書かれているが未完。
その当時の人たちのしゃべりのままにかかれているので、最初なれない。漢字とカタカナがまじって、知らない用語も多い。

主人公、内海文三は、静岡の藩士の子どもだった。父親をなくし、母親が苦労して学問させた。叔父をたよって東京で学費免除の学校に通い、公務員になる。身を固めて(なんとなく、下宿先の娘・お勢と結婚話がまとまりそうな雰囲気だった)母親を呼ぼうとしている矢先に、リストラされてしまうところから話が始まる。

叔父さんは、維新のあと、苦労して商売をはじめ、茶店を営業していて、それほど裕福でもないが、まずまずの暮らしをしている。

叔父さんの妻・お政は、如才のない抜け目のない婦人。文三が居候だったときはつらくあたったりすることもあったが、夫の係累だからと面倒をみてきた。子どもは、お勢ともう一人男の子がいて、男の子は学校があって寄宿している。子どもたちのわがままをきいてあげる優しい母である。

お勢は、小さいころから、父親は学問、母親は芸事をやらせていたが、どちらもなかなかのもの。隣の家の学問ができる娘にかぶれて私塾に通い、今では母親を「学問のない人は」などといって、いうことをきかない面も。
文三が学問ができる人と認識されていて、英語を習うなど仲良くしている。

文三の同僚本田昇は、生まれもそれほどではなく、学問も文三ほどできないが、如才がないタイプで、常に課長へのおべんちゃらを忘れない。盆暮の付け届けはもちろん、休日でもご用はないかとうかがうようなタイプ。リストラはされなかった。

物語は、本田が文三のいる叔父の家に出入りして、お勢にちょっかいだして、文三がやきもきするとか。
お政は本田の如才のなさをほめるが、文三は卑屈な奴と思う、でも、自分がリストラされてしまったことから、母親のためにも本田のように生きるべきではと思ったり。
文三はお勢が自分のことを好きだと思い込んで、心変わりを責めたら、かえって怒りをかったり。
文三の就職活動がまったくうまくいなかい話とか、お政にイヤミをいわれて突発的に下宿を探したりするが、かといって、いろいろ理由をつけては実行に移せない様子とか。

日常生活を追いながら、文三の心中を中心に話がすすんでいく感じです。
基本的に文三とお勢の恋愛というか、関係というか、そういう話なんじゃないかな。
そういう視点でかくと、文三とお勢は、お勢が文三を学問があると尊敬する、文三は学問のわかる娘としてお勢を扱う。そうして仲がよい二人をみて、お勢の両親も嫁にやってもいいかなと思っていた。お勢はわからないけど。
けれど、リストラがあって、話はチャラというか、はっきりとしていなかったのですべてお蔵入りになり、疎ましがられるくらいになった。
そこに本田がやってきて、お政は本田のことろに嫁にやろうと思う。本田の女性の扱いがうまいので、お勢も嫌がっているようにはみえないが、今度も本当の気持ちはわからない。
文三はお勢が心変わりしたと責めるが、お勢にしてみたら恋人になった覚えはないし、無実の罪を責められた気分で文三を無視する。
文三は怒って出て行こうとするが、お勢をまっとうな道にもどせるのはじぶんだとかいって、結局出て行かないことにする。
お勢は、新しく編み物を習い始め、本田には冷たくするようになる。
文三は、お勢ともう一度話してみてから、うまくいかなかったら叔父の家をでようと考える。(再就職はできていない)

そして、唐突にここで話は終了。


浮雲 (1951年) (新潮文庫〈第279〉)

浮雲 (1951年) (新潮文庫〈第279〉)

  • 作者: 二葉亭 四迷
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951
  • メディア: 文庫



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