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本のベストセラー

人を助けるへんな細菌すごい細菌―ココまで進んだ細菌利用 (知りたい!サイエンス) [自然科学]

著者は山口大学大学院応用微生物学修了ご、化学メーカーの創薬研究を行っている方(平成19年当時)
細菌とは何か?われわれの暮らしにどうかかわっているか?最近発見された細菌の解説などな

生物は「動物」「植物」「微生物」に分けられる。
細胞の分類では「真核細胞」「原核細胞」に分けられる。
植物と動物はすべて真核細胞をもつ真核生物。
微生物では、「原生動物」=ミジンコ、藻類、菌類は真核生物。
微生物の中の「バクテリア」と総称される、「古細菌」と「真正細菌」をひとまとめに「細菌」とよび、この本で扱う。

地球誕生は46億年前。30億年くらい前には細菌のご先祖様がうまれたのではないかといわれている。
われわれは多細胞生物に進化したが、細菌はたった一つの細胞で生きていく。そしていろいろな場所、地底、海底、植物や人体、昆虫などいろんなものと共生してきた。

細菌の大きさは細胞を数百個縦にならべてやっと1ミリになる程度。
DNA遺伝情報をもっていて、細胞分裂や出芽によって増殖する。
種類で細胞の形が決まっていて、球菌、桿菌、らせん菌の分類があるが、この分類にいれられないのもある。
これが1個とか集まってとかで生息している。

移動は空気や水の流れに頼るものが多いが、なかにはべん毛とよばれるスクリュー構造をもってエサに向かって泳いだり、有害物質から逃れたりするものがある。べん毛はその構造が明らかになるにつれ、血管のなかで使える動力としてナノテクノロジーから注目を浴びている。産業技術研究所ではバクテリアのべん毛をつかったモーターでローターを回すのに成功し、その映像をWebで公開しているそうな。

細菌は地球の環境を支えている。
地球では元素が物質循環しているが、これを支えているのが細菌。
1年間に地球を循環する窒素は10億トンといわれているが、動植物は直接大気中の窒素を利用できない。
大気中の窒素を生物が利用しやすい形態(硝酸など)に変換する窒素固定は細菌によって行われている。生物が死ぬと細菌によってアンモニアが生成される、生物はそれを尿酸に変換して排泄する。それがまた細菌によって分解され、動植物に利用される。
また、人間が作って自然界にばらまいた農薬なども数十年後には分解可能な細菌が現れる。これは最近の遺伝子が比較的短時間で変化するのと、細菌の遺伝子は2種類に分かれていて、重要なもの(ゲノム)と、加工に失敗しても影響のすくないもの(プラスミド)があり、新しい能力はプラスミドに作られているためと思われる。また子孫だけでなく、細菌同士で遺伝子を受け渡しすることも知られている。ただし自然界では細菌同士の接触は少ないので、ミミズ体内などで接触するというサポートも大きいと考えられている。
細菌は細胞表面にレセプターをもち、このセンサーで周辺情報を手に入れ、えさに向かって動いたり、有害物質から遠ざかったりできる。このセンサーをつかったり、移動方法を利用する研究も進んでいる。
有害物質を分解する細菌たち(ラッパムシ、ワムシ、ゾウリムシ、ツリガネムシなど)は下水処理ですでに活躍している。
石油を分解する細菌は原油事故のときに、水銀を分解する細菌は汚染土壌浄化に使われている。
窒素を固定する細菌には、植物と共生関係をもっているものが多いが、なかには持たないものがいる。その一つアゾトバクターは植物ホルモンも生産するので、収穫も向上することが期待されている。
三宅島で火山灰に覆われた層にも少しずつ細菌が生息しているのが確認できており、これらの細菌が先発隊となり窒素固定菌やがては植物と再生がすすむことが期待されている。

人体と細菌
畑のような豊かな土壌には土1グラムに数千万から数億の微生物がいる。砂漠の砂には仮死状態の細菌がわずかにいるだけ。ちなみに地上30kmが微生物生存上限といわれており、地上10kmから30㎞ではマイクロバスの大きさに1個程度になる。海は1mlあたり100万個、人間の皮膚は平方センチメートルあたり4-14万個といわれている。
最近の研究で地下と海底には地上や海中より多くの細菌圏があるとわかってきた。特に海底熱水噴出口付近では多くの細菌がいることが確認されている。
人体に生息する細菌は多く、ほとんどの最近は無害か、ビタミンを作ってくれたり、有害な菌から体をも守ってくれたりする。いちばん生息しているのは腸で500から1000種以上、次は口で500種以上、皮膚には数百種の細菌がいる。現在の検出技術でわかっている範囲なので、増えるかも。
腸内細菌は地域や人種の違いのほかに、生活環境で変わることもわかっている。
胃潰瘍の原因菌と知られているヘリコバクター・ピロリは人類がアフリカを出て以来の付き合いらしいですが、この感染者の多い東南アジアで3-6歳の子供にLG21乳酸菌を与えたら感染率がさがったそうな。成人でもヨーグルトを食べ続けると胃の粘膜の改善がみられたそう。でもやめると元に戻ったそうな。
このような人間に対して健康上良い作用を示す細菌を含む食品をプロバイオティクスとよんでいる。これは健康増進に役立つ生きた微生物。この効果がきたいされているのは、アトピー予防、がん予防、感染予防、コレステロール低下などだそうな。
ちなみにヘリコバクター・ピロリは遺伝子レベルで6%も違うものが存在していることがわかっていて(ちなみに人とチンパンジーは1.23%)、その種類で感染する人種や血液型が違うのではないかといわれているらしい。また確かに胃がんを発生させるが、一方で胃食堂逆流症を防いでいるのでないかとの説もあるらしい。


人間の生活に使われている細菌
 藍染の原料の藍は、細菌の発酵作用で水とまざり、染料として使えるようになる。そのほか色素の分解にも細菌が使われている。

 化粧品では、ヒルアロン酸はそれまで鶏のとさかから少量しかとれなかったのが、これを作り出す最近の発見により安価になった。

 日本人だけが敏感に感じ取るという「うまみ」はアミノ酸の一種であるグルタミン酸。かつては大豆や小麦のたんぱく質を加水分解して製造していたが、現在は遺伝子組み換え細菌によりブドウ糖から大量生産している。
 乳酸菌が食品を発行させると食品が酸性になり、乳酸菌以外の多くの最近は酸性環境では生育困難なため、食品の腐敗が防がれる。最近では乳酸菌は腹部敗血症による感染症をおさえる(O-157などに対抗できる)のではないかと期待されている。
酢は他の酸性の液体より、雑菌の細胞膜に浸透しやすく、風味もよいため食品添加物として普及した。それまでは発酵による保存にたよっていたのが、江戸時代に酢を利用することで簡単に保存性が高まるようになった。
 納豆菌は芽胞を形成して高温に耐える。このため100度の高温に熱した大豆をわらで包むと、わらの他の細菌は死んで納豆菌だけが生き残って納豆ができる。現在は培養納豆菌を蒸した大豆に接種、発酵熟成させている。ねばねばの正体はグルタミン酸と砂糖の成分の一部フラクトースが集まってできたフラクタン。これは納豆菌が栄養不足になると栄養を蓄えて作り出したもの。だからそのまま放置すると納豆菌がたべてなくってしまうらしい。ちなみにねばねばは水中で汚染物質の吸着にも役立つらしい。
 フナずし・・・フナの乳酸菌発酵
 シュールストレミング・・・世界一臭い缶詰。ニシンの乳酸菌発酵だが、保存効果はなく賞味期限を過ぎると食べられない。
 キビヤック・・・エスキモーの作る発酵食品。アパリアスをアザラシのおなかで、乳酸菌、酪酸菌、酵母で発酵させる。
 オンフォ・・・韓国のチョルラドの名産、エイの消化酵素で発酵させる。アンモニア臭がすごいらしい。
 くさや・・・アオムロ、ムロアジ、トビウオなどをくさや液につけて干す。くさや液の中身の菌はよくわかっていないらしい。しかし、菌が抗生物質をつくりだして他の細菌を殺しているらしい。

 バイオプラスティックは生物によって生産・分解されるプラスティック。
大きくは「微生物系」・・・微生物発酵「天然物系」・・・植物・動物・海洋性生物繊維「化学合成高分子系」・・・植物などの糖質を原料に化学反応で作る
これらのプラスティックはコンポスト内で4週間程度で分解される。
ポリエステルを生産することがわかっている菌は100種類以上ある。
 水素と酸素による化学反応で電力をつくるのが燃料電池。バイオ燃料電池は、生ごみなどから微生物や酵素の機能で電力を取り出すもの。現在は1平方メートルの電極でやっと小さな電球をともす程度。
水素は次世代のエネルギーとして期待されているが、取り出すのにエネルギーがいるためそこがネックになっている。この仕事を細菌にやらせる研究も進んでいる。
 メタン発酵は糞尿のような有機物から微生物の働きによって燃料としてしようできるメタンを得ること。
細菌はここでも複数の工程で活躍している。北海道の酪農学園では家畜の糞尿を使ったメタン生産の実験プラントがあり、250立方メートルの発酵槽と30キロワットの発電装置があり、乳牛の糞尿を毎日10立方メートル処理して、一般家庭50-60軒の電力が得られる。廃棄物は有機肥料として牧草地にまいている。
 スピーカーに使われるバイオセルロースを作るのは酢酸菌の仲間アセトバクター。バイオセルロースは代替皮膚としても使われている。


人知を超えた細菌パワー
 魚類を光らせるのも細菌。
 磁石を作る細菌。細菌を特定の場所に移動できるかもしれない。
 バイオ人工降読雪機は、氷核活性細菌をいれた液体をまいて作る。
 2007年慶應義塾大学が生きた細菌の遺伝子に符号化したアルファベット文字情報を挿入し、枯草菌パチルス・サチルスで1メガバイトの情報を記録することに成功。一部が欠落してもDNAの他の場所のコピーと照合して復元するエラー訂正機能付加してアリ、データの99%を読みだすことができる。細菌にブランド名などを書く方法として期待されている。
 ヘリコバクター・ピロリは人間の細胞にTFSSという注射器そっくりな構造体をいれて毒物を注入するが、この機能を乳酸菌などに移植して、医薬品を運ばせて目的の細胞に注入させる方法などが研究されている。
 人体のなかを移動させるための手段として最近のべん毛モーターを使う方法も研究されている。
 極限環境微生物・・・好熱菌、好冷菌、好酸菌、好アルカリ菌、好塩菌、好圧菌など過酷な環境を好んで生息するもの。特に注目されているのが、海底熱水噴出孔周辺の細菌密集地帯=ハイパースライムの菌。これらの菌は地球で最初の生命活動の姿であるかもしれないといわれていて(DNAの長さが大腸菌の半分)、地球以外にも存在するかもしれない生命形態といわれている。20億年くらい前の地球ではこれらの菌がつくるメタンで地球があたたまり地球を凍結から守っていたと考えられている。
 これらの菌が高温から身を守る方法は、通常よりアミノ酸の結びつきが強いことが知られているが、まだ決定的な原因はわかっていない。またATPとよばれる細胞のエネルギー源の受け渡しもよくわかっていない。
 アルカリセルラーゼはアルカリ性の水のなかでセルロースを分解する。アルカリセルラーゼは好アルカリ菌によって生産される。利用は家庭用洗濯洗剤。
 複数の菌が分担して有用な成分を作り出す例 GAVA(ガンマ・アミノ酪酸)は①乳タンパク質に含まれるグルタミン酸を取り出して、細菌が使える形にする。②グルタミン酸をGAVAに変換するという作業を別の乳酸菌が行っている。


細菌の持つ無限性
 深海や地下探査の技術の進歩と、分析器が進化により、未知の細菌がどんどんみつかっている。しかし環境を変えると死んでしまう細菌や、へたをすると研究のための活動で最近の生育環境そのものを破壊する可能性があるので、調査は慎重におこなわれている。
 乳酸菌などにワクチンをいれて飲む方法は開発されているが、細胞に侵入する効果が疑問視されている。
 がんのテロメアを伸ばすをとめる細菌の発見。
 細菌モーターで細菌を馬車馬のように働かせる。
 最近は増えるとコロニーを形成するが、それはバイオフィルムという細菌が分泌する粘性物質のなかに細菌細胞が包み込まれたものなんだそうな。この中では感染症に対する抵抗作業があり、栄養分供給の水路があったり快適なのだが、増えすぎると栄養が枯渇。最近はまたばらばらになってちっていくそうな。
 ある種の細菌を作り出したあと、似たような細菌を作りたいと思っても、その作業は最初とほとんど変わらない。この種の苦労を軽減しようとMTTのトム・ナイトらが考え出したのがバイオブリック。
バイオブリックはさまざまな機能を付加された遺伝子のパーツをラインナップし、その両端の規格をそろえたもので、このユニットの接続で思い通りの細菌をつくろうというもの。
しかし、実際に細菌に埋め込むと異物として排除されて最近の寿命が短かったり、だれでも気軽に細菌を作れるので安全性に疑問があったりする。




人を助けるへんな細菌すごい細菌―ココまで進んだ細菌利用 (知りたい!サイエンス)

人を助けるへんな細菌すごい細菌―ココまで進んだ細菌利用 (知りたい!サイエンス)

  • 作者: 中西 貴之
  • 出版社/メーカー: 技術評論社
  • 発売日: 2007/09
  • メディア: 単行本



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