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ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解 [プログラミング]

経営コンサルタントの著者が書いた組織に「ゆとり」が必要かつ有用な理由。

知的労働者の労働は、工場労働者よりも「考える」比重が大きく、他の労働者に仕事を引き継いだり、分割したりするのは難しい。
知的労働者(とくに管理者)の効率をあげようとして、無駄な時間を探しだし、仕事時間を100%稼働時間にしようとするのは無理な話である。
短期的には効率の数字はあがるかもしれないが、実際にはパフォーマンスが落ちるし、なにより「やらされている」感じを労働者に与え「やる気」をそいでしまう。知的労働者は給与よりもやりがいを重視する傾向があるので、結果として優秀な人材が流出してその損害ははかりしれないことになる。つまり人件費を1円けずっても失うものがおおければ1円の利益にならない。
人的資本の損失計算例
人的資本=代わりの人材がふつうの速さで仕事ができきるまでの期間×(給与+間接コスト)×50%
人的資本の損=人的資本の平均損失額×離職率

短期的なストレスが仕事の生産性をあげることは確かにあるが、常にあると生産性は低下する。
なぜなら、人間は時間的なプレッシャーをいくらかけられても、速くは考えられないから。
もともと知的労働者は無駄な仕事や、重要でない仕事はあとまわしにしているので、できるのは夜遅くまで働くことくらい。
ほとんどの知的労働者の給与は時間ではないので、長時間労働をすると生産性はあがったようにみえるが、実は生活の質がおちた労働者は仕事に手をぬきながらやっているふりをするか、転職を考えるようになるのだ。

効率を重視してアシスタントや事務の仕事を減らすことは、知的労働者がコピー取りをするということで、最終的は生産性をさげることになる。
開発者5人のチームより、開発者4人と事務アシスタント1人のチームのほうがコストは安い。

効果より効率重視で恐怖が支配する企業では、管理職は常に怒っていて、スケジュールは誰も守れると思えないほど強気であり、みなうまくいかないときの責任を押し付け合い、ときには責任をとらないですむように訴訟まで起こす。
納期を守るためにやるべきことはすべてやったようにみせるために、うまくいかないのを承知で人員を投入したりする。
これではよい製品などできるわけがない。

管理者の仕事は管理していると思われないように管理すること。その仕事は目に見える成果(製作物)がないので、無駄とおもわれがちだが、実は違う。忙しくしている管理者は管理以外の仕事=やるべきことでない仕事をやっていると思って間違いない。多くの管理者が仕事をしていないと思われる恐怖から目に見える仕事をやってしまい、本来の仕事ができていない。

まちがった管理の第1法則
うまくいかないことがあったら、もっとやれ

まちがった管理の第2法則
自分自身のユーティリティ・プレーヤーになれ(自分でコピーをとれ)

規格はありがたいものだが、知的労働ではあまり役に立たない、うまくやっている社員は手順は人と同じだが他の人より他人とのつながりがゆたかであった。
手順や目標管理は知的労働には重要でない。必要なのは現場レベルに権限移譲をすることである。
危険は伴うがモチベーションは確実にあがる。
品質管理は、他はすべて同じで、ある部分だけ改善すれば、全体のパフォーマンスがあがるという考えなので間違っている。他がすべて同じなどという状況はビジネスにはない。

過剰なストレスのある企業は効率をおいかける。効果は考えられていないので、進む方向があっているかだれにもわからない。
またリスクをとることを回避するので、繰り返し意味のない選択をすることになる。

変化のないところには成長はない。
それなのに現状にこだわりながら当然のように成長を期待している組織によく会う。
現状維持から成長はない。

変化するためにはビジョンが必要。
変化が成功するためには変わらないものは何か、組織の存在意義はなにか(ピーター・ドラッガーがいうところの文化)を明確に理解している必要がある。それは変化してはならないものだから。

リーダーシップとは自分の課題に他の人たちを参加させる能力。
リーダーとして意味のある行動をとれば、人々は長期的な利益を高めるため、短期的な痛みをある程度受け入れる。
方向性を明示するだけではポーズだけである。短期的に痛みがあることを率直にみとめ、あとはフォローアップして、本当のリーダーシップである。
リーダーシップは組織図の下から上に昇ったり、空白を横切ったりする。だれでも能力をもっているのであり、使う責務がある。
活気ある企業は、フォロワーシップはない。結果として人に従うことはあっても、本質的にはリーダーシップは全員の任務であり、交替で担うものになっている。

変化には「安全」が必要である。
人間は仕事でアイディティティの一部を支えている、変化に対する抵抗は慣れ親しんだものを捨てることに対する恐怖である。しかし恐怖が変化を必ずさまたげるのではない。健全な恐怖は学習につきものである。それよりも、変化による失敗を嘲笑する行為は絶対にゆるしてはならない。苦労をうけいれ失敗をしたひとは貴重な教訓を残した尊敬すべき人である。この文化を確立しなければならない。

リーダーが信頼を得るには、信頼に足ることを示さなければならないが、新しいリーダーにはそれができない。
だから、親が用いる方法=いつも信頼に足ることが示されるより少し前に信頼を与えるを行う。
権限移譲である。リスクを避けるタイプの人にはできないことである。

変化を起こすとしたら、業績がよく余裕があるときである。
傾きかけてから付け焼刃にやっても「ゆとり」がないので効果は薄い。

組織の変化=再生がおこるのは中間管理職の層からであり、この層が管理に十分時間をとれる「ゆとり」をもつことが組織を柔軟に持続的に発展させることになる。

管理者の仕事は習得が必要な技術なのに、ほとんどの管理者は他の管理者に学ぶこともできず、通り一遍の研修だけで実践に投入され、熟練管理者と同じレベルのパフォーマンスをもとめられる。これでは無理がある。
学習とは、新しい仕事をベテランよりゆっくりすることに他ならないのに、急げというメッセージが学習を不可能にしている。

知的組織には「健全な」競争など存在しない。内部の競争はすべて破壊的である。
私たちの仕事は一人の人間が孤立した状態でこなせるようなものではなく、チームで行うべきものである。

ゆとりのない組織は権威主義的になりがち、
効率をもとめると意思決定は分散できない(権限委譲できない)
これは大量の仕事を片付けるにはよい方法だが、再生と学習を促進する方法としては悲惨。
再生ができる人に権限もゆとりもない。

変化は管理できない。
業績→報酬ではないし、がんばって失敗している人と、変化しようとしない人の区別がつかない。
そして知的労働者の管理は変化の管理に近い。

これまでの計画(ソフトウェアの工程)は、最初からリスク管理をしていない、すべてがうまくいったときの過程でつくられている。
つまり、15回連続でブラックジャックに勝つといっているようなもの。
そんな不可能な計画は役にたたないばかりか害になる。

リスクをとるということは、余分なコストや遅れの可能性が生じるということ。
妥当なリスクをとって、スケジュールに余裕を持たせることは良い結果をもたらすことを、
縦軸に完成する確率、横軸に完成日をいれたグラフで説明。
リスク管理をすることで不確定性を数量化して明示できる。
不確定を許さない企業文化であっても、管理者がこのようなグラフをもっていることは重要。ただし企業全体でやるより効果は薄い。
著者の経験として5%の不確定要素をいれることを許容している企業があるが、ほとんど予測に成功しないのでみながウソをついているという。
しかし、ウソとわかっていても意欲的な管理者は評判がよい。しかしこの管理者はリスク管理とは正反対。企業には「できない」管理者が必要だ。この人は失敗に結びつくことが予想されるあらゆる可能性を報告する。

リスク管理の基本
全体リスクと部分リスクがある。
肝心なのは部分リスクを管理すること。
リスクを管理するとは
1 リスクを一つずつリストアップし数える
2 新しいリスクを発見するプロセスを継続する
3 各リスクが与えると予想される影響と、その確率を数量化する
4 リスクが現われ始めたことをなるべく早く知らせる変化の指標を設定する。
5 万一、各リスクが現実のものとなりはじめた場合の対応計画を事前にたてておく
である。
また部分リスクの影響が重なった場合、全体的な成功にどのような不確定がおこるかモデル化する。
リスク管理は動的で時間経過とともに更新していく必要がある。

リスク制御
リスクが実現したら
影響を受け入れ、コストを支払い、そのまま先に進む。
そのために予算とスケジュールに柔軟性を持っておくことが重要。そうでなければそのための予算とスケジュールを得る為に余計な仕事をすることになる。
リスク0%の予算やスケジュールより、最初からリスク管理をした予算とスケジュールを持つ方が結局よい結果になる。

リスクの軽減
リスクが発生したときの計画をもっておく。
事前準備をしておく(火災訓練のようなもの)

知的労働者に「急げ」ということはリスク管理と矛盾する。
リスク管理は「急げ」=危険速度よりは遅い速度(事前の講習など)になるので、完成は遅くなる。
確実に遅くなることを嫌い、危険速度での計画を立てたがる管理者が多い。
この結果の結果とコストを表で説明。
結局リスク管理のコストを払った方が、危険速度で失敗したときのコストより小さいと説明。
また危険速度で成功しても、それは来年のもうけを先に手に入れたようなもので、知的労働者の転職など、結局は企業にとって損失になるという。

現代は変化の時代であり、リスクをとることは必要なことである。
それなのにいたるところでリスクが回避されているのが不思議である。
リスクのない計画はやめるべきだ。そうでなければ生き残れない。

変化の激しい時代に変化のない時代の管理方法を適用しても、21世紀のビジネスにはついていけない。
変化のない時代の管理方法=開発「工場」の構築、「仕事量」の「測定」、プロセス、品質管理、効率、投下資本利益率、無駄の管理、コスト削減

リスク管理のチェックリストがのっていて、あなたの会社で最もリスクが大きい部分を選んでチェックしてみて、ほとんどチェックできなかったらリスク管理できず、リスク回避している可能性があるといっていた。

効率がまったく重要でないといっているのではない。ほとんど重要ではないといっている。
効率で1ポイント稼げるとしたら、わずかなゆとりと、発想、工夫、リスクの受け入れ、人間関係の理解によって3ポイント稼げる可能性があるのだ。


ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

ゆとりの法則 - 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

  • 作者: トム・デマルコ
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2001/11/26
  • メディア: 単行本



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