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本のベストセラー

テロリストのパラソル [小説]

江戸川乱歩賞と、直木賞を、この一つの作品で受賞して話題になった作品。

主人公はアル中のバーテンダー。
目が覚めたらウィスキーをもって公園に行き、昼間から1杯やるのが習慣。
そうすると手の震えがとまり、夕方から仕事。
それが彼のルーティン。

いつものように公園でウィスキーを飲んでいると、
小学生の女の子に話しかけられる。
そのあと、宗教の勧誘の若者にも話しかけられる。

そして、新宿の駅前広場で爆破テロが発生。
主人公は女の子の安否を確認するため向かう。

彼は、学生紛争の時代に運動に参加しており、
その後爆弾テロで警官を殺害した罪で指名手配され、
23年間逃亡を続けている男だった。

物語は主人公の過去をたどりながら、
ハードボイルドらしい、勢いとカッコよさで、
一気に最後の謎解きまで読めます。

ここまでで面白そうと思った人は、
先は読まないで本を読んだ方がいいですw

ここから先はネタバレで、説明しやすいように
謎解きから書いています。



物語のはじまりは、安保闘争時代の東大。
文学部で学生運動に加わっていた主人公と、その親友、同級生の女性。

やがて運動の限界を感じた主人公と親友は大学をやめて働く。
主人公はボクシングを始め、新人王になるのではと期待される。
同級生の女性は、いきなり主人公の部屋にやってきて、同棲がはじまる。
親友も、企業で働きはじめ、3人の親交は続いているかにみえた。

しかし、親友は女性に恋をしており、
主人公の留守に女性に関係を強要、
女性は何もいわずでていってしまう。

主人公が新人王になれる可能性がでてきたころ、
親友はパリの大学にいくという。
最後に青木ヶ原樹海にドライブに行きたいというので、
主人公がもらったオンボロの車ででかけて事故。

親友がもちこんだカバンには、彼が作った爆弾があり爆発。
近くにいたジョギング中の警察官が死亡。
二人はテロリストとして指名手配される。

親友は逮捕前に国外にでて、主人公は国内を逃げ回ることになった。
公安の目を逃れ、流れ着いたのが新宿のバーだったのだ。

親友はパリで活動家に誘われ、南米の国で活動中に逮捕される。
日本大使館は彼の引き渡しを求めたが、実行されず。

親友はその国で刑務所に入ることになる。
そこで様々な拷問をうけ、性的虐待もうける。

その後、性的関係をもった男性をそそのかして脱獄。
相手は脱獄後に殺した。

コカインの売買で富を得て、国の名刺になった男の娘に見初められ逆玉。
名前を変えて南米のマフィアになる。

一方女性は、同棲を解消してすぐに結婚。
夫の海外赴任でNYに暮らしていた。

親友と女性はNYで再会。
たびたび合うようになるが、親友が女性の夫を事故にみせかけて殺害。

証拠はなかったが、女性はすべてを察して親友の前から姿を消した。

やがて日本に来た親友は、女性と主人公を探す。
女性は主人公に気が付いているが、主人公は気が付いていない状態だった。

女性の心が主人公にあると知った親友は爆弾で女性を殺す。
そのとき自分の片腕も現場に残し、自分が死んだようにみせかけた。

親友は南米でマフィアの抗争で片腕をうしなったとき、
とっさに保存を思いつき、今回ホームレスを使って、自分の死を艤装したのだ。

そして、主人公を犯人に仕立てあげるつもりだった。

主人公は、これらを知らず、ニュースで親友が死んだとしる。
女性の死は、その娘が主人公を訪ねて知らせた。

娘がその後、主人公を助けて謎解きをするようになる。
頭がきれて、芸能人としてスカウトされるような女性である。

警察に追われながらも、主人公はホームレスや雑誌編集者の人脈、
しりあったヤクザ、女性の娘の助けをえて真相に近づいていく。

やがてNYで女性と親友があっていたことがわかり、
主人公は親友のところへ向かう。

しかし、主人公には親友を殺すことができない。
結局、最後は親友の頼みをきいて、銃を置いて外にでる。

親友は自殺、主人公は警察に逮捕される。

他にも冒頭の女の子が、親友が南米で会って厳しい刑務所に入るきっかけになった警察官の娘という設定。
その警察官が、現在女性に恋しており、娘を連れて新宿に会いにきているという設定。

途中で主人公を助けるようになるヤクザは、爆破事件の現場にいた少年の義理の兄で。
ボクシング経験者で主人公をしっており、元は警察官で経済に明るいインテリヤクザという設定。

よくできた映画をみるように、一気に読める面白い作品でした。
でも、親友が・・・壮絶体験すぎるなあ。


テロリストのパラソル (角川文庫)

テロリストのパラソル (角川文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • 発売日: 2008/04/01
  • メディア: Kindle版



テロリストのパラソル (文春文庫)

テロリストのパラソル (文春文庫)

  • 作者: 藤原 伊織
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2014/11/07
  • メディア: 文庫



タグ:藤原 伊織
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天気の好い日は小説を書こう [小説]

筆者が早稲田大学文学部で、小説の書き方を教えた授業をもとにしたもの。
編集者が授業に出席し、それをまとめた。3冊シリーズの最初の巻き

明るく装っていても、内面は暗い人間はたくさんいる。
暗さは個性なんかじゃない。

教室では「孤独」は禁じ手。

小説はシェルターではない、他者へのメッセージ、想像力を媒介とした魂と魂のコミュニケーション。

書くためには、ある種の気分の昂揚が必要。読み手にコミットする積極性が必要。
鬱陶しい梅雨空でなく、ピクニックに行くような天気の好い日にこそ小説を書こう。

小説はどうかするとお金が儲かることがある。
職業として成立する可能性のある数少ない芸術。

でも純文学は貧乏。
筆者も文学ではないと思うものをお金のために書くといっている。

小説を書くために一番必要なのはモチーフ。書かねばならないという内的衝動。

物語と小説の違いは、リアリティ。
桃太郎のおじいさんには個性がない。どこにでもいるおじいさん。
でも、小説の主人公たちは、朝トイレにいくリアリティがある。
主人公はスーパーマンではなく、悩める人間、読者は自分を重ねる。

物語はあらすじだけだが、小説は表現、文体。

悲しかった、とかかずに悲しみを表現するのが小説。
ストレートに悲しかったは、作文。

英語訳がしみついて日本語がかけなくなっている人がいる。
主語がないとおちつかないとか、翻訳文になっている。

小説を書くのに実は秘訣はない。
切実なテーマを若い感性で書いて欲しいのに、
基礎がないと独りよがりなり、技術を習得するのに
時間がかかってしまう。
それで本を出した。



文学の分類とか定義の話。

純文学の定義
 書き手の世界観や人生の軌跡を小説というスタイルで読者に向かって訴えかけるもの。
 日本独特の概念。


近代小説の要素
 リアリティー
 ナチュラリズム(自然)
 ヒューマニズム(人間性)

スターウォーズは物語で、E.Tはリアルな映画

近代小説6つのタイプ
 〇狭い意味でのリアリズム。虫にならない、ゆびがペニスにならないもの、
  
  私小説(自分の個人的生活から素材をとる)と、社会小説(私小説でないもの)
  
   私小説のなかに、告白小説(私はバカです)と心境小説(私はエライ)がある
   社会小説のなかにプロレタリア文学のように、高いところから貧乏人の生活を書くもの。
   風俗小説と呼ばれることもあるが、等身大の自分が社会の中を生きていく、その有様を社会的な視野を持って書く。
 
 告白小説 「子をつれて」葛西善蔵
 心境小説 「城の崎にて」志賀直哉
 プロレタリア文学 「蟹工船」小林多喜二
 風俗小説 「限りなく透明に近いブルー」村上龍、「太陽の季節」石原慎太郎
 
 〇リアルな問題を背景にかかえながら、一歩現実から抜け出したシュールな作品、実験小説
  私はえらいの視点から書いたもの前衛小説
  読者にサービスしているもの、アヴァンポップ
  
でも。優れた作品はボーダーを超える
私小説の切実さと社会小説の時代性がクロスオーバーしたところに、
すぐれた作品が生まれる。


心境小説について詳しく
 見世物芸→深まらない
 遊芸→深まる
 小説も人生経験がいることがある。志賀直哉は20歳にはわからなくて当然。
 私小説は文学のヘラブナ。始まりであり奥義。
 経験がないことを恥じたり、観念的なものに逃げる必要はない。ありままかけばいい。
 過去の出来事でも現在形で書く、臨場感が大事。ただし視点を動かさない。
 

近代小説の仕組み
 主体が欲望を抱いて外界の壁にぶつかるという設計図。
 でも、先に設計図をつくると作品が図式化されてしまうので注意。
 登場人物が絵に描いたようではいけない、リアリティーが必要。
 見えないものはかかない、神の視点でかくと嘘っぽくなる。

 
日本語で書くために、彼・彼女・それをつかわない
 複文をつくらない。
 複数形はどうしても必要なときにしか使わない。日本語では別の意味になってしまう。
 無生物主語をつかわない
 なくていい言葉は引く、少し、まるで、ちょっと、やっぱりなど。
 月並みな表現を使わない
 オノマトペ排除

物語を支えてきた人間の本質はかわらない。
潜在願望を刺激する物語にあったとき、人は感動する。

物語の構造をとらえたうえで、切実な作品を書くにはプレゼンス=存在感、実在感
そのためには設定した主人公になりきる。
イマジネーションで読者をまきこむ

でも、あんまり書きすぎるとテンポが遅くなる。
なので、30枚の作品が課題なのである部分では存在感を高め、ある部分ではポンと先に飛ばす。
おおまかに4つのシーン。間は飛ばす。途中があらすじでも、シーンを書き込むといける。
存在感を出す例、地名をいれる、電車の線路の側に住む=貧しい。


小説をスラスラ書く秘訣
構想の段階では距離をとる、書き始めたら主人公になりきる、書き終えたら距離をとる。
これを2・3回くりかえす。

筆者でいいなと思った具体的表現例
じねんじょとか両手にミキサーとか。

筆者の作品リストが巻末にあった。


ワセダ大学小説教室 天気の好い日は小説を書こう (集英社文庫)

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  • 発売日: 2000/03/22
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天気の好い日は小説を書こう―W大学文芸科創作教室

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  • 作者: 三田 誠広
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 1994/11
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書く前に読もう超明解文学史―W大学文芸科創作教室

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  • 作者: 三田 誠広
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 1996/09
  • メディア: 単行本



深くておいしい小説の書き方―W大学文芸科創作教室

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  • 作者: 三田 誠広
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 1995/11
  • メディア: 単行本



タグ:三田誠広
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人を動かす超書き方トレーニング [ビジネス]

人を動かす文章を書くためには、文章以前に伝えたいことがあること、感性(論理と情動を包摂するもの)が磨かれていることが大事。だから沢山本を読むことと、人間性・誠実さ・他人への思いやりを磨き、利己的でない人間になることが大事。

これが結論だけど、内容は文章力を鍛える話です。具体例もあります。

文章には文芸作品と一般的文章がある。

文芸作品は繰り返し読まれることを想定していない一過性のもので、相手の中に臨場感を起こすことが求められる。ストーリーのパターン自体はギリシャ神話ででつくしており、文体や情動を楽しむという娯楽のために書かれる。

それ以外の一般的文章は、繰り返し読まれことを想定した再現性のあるもので、自分の世界の臨場感を相手に伝えることが求められる。かかれている内容=情報が大事。

この二つはまったく違うので、まずどちらを書こうとしているのか確認する。

一般的文章は情報が大事なので、まず自分の中に伝えたい内容があることが大前提。それがないのにテクニックだけで文章を書いても意味がない。伝えない内容をもつには読書して人間性を磨く。

伝えたい内容を読者に正確に伝えることはできない。なぜなら言葉の解釈は相手にゆだねられているから。伝わらないことを前提に、伝えたい内容を視点を変えて何度も書くことが大事。(何度も読まれるでもいいが、それはコントロールできないので)

人間は、知らないことは認識できない。新しい情報を認識するためには、いままでの情報と関連づけることが必要。しかし知っていると思った途端、その情報は認識されなくなる=スコトーマ

文章を書くことは読者のスコトーマへの挑戦である。

スコトーマをはずすには、だれでも重要だと思う内容を述べた後に、裏切るようなことを述べる。人間の脳は心地よいものよい不快なものの方が感じやすいので情動が動き、情報を認識してもらいやすくなる=スコトーマが外れやすい。
結論は、裏切った内容をも包摂するようにする。

人間は誤解をうむ単語はスコトーマを生みやすいので注意する。誤解を生みそうなら定義を明確にする。また、結論はなるべく早く提示すること。

一般的な机上の空論は臨場感を生まない。体験レベルの知識がもっとも高い臨場感を醸成する。ただし、そのままではなく、体験から抽象化した概念で伝えたほうがより有用である。

抽象化=複数の具体的項目の中から共通項をみつけてくくること。


内容を正確に伝えるには全体像を先に考えることが大事。書物や文章はそれ自体が一つのゲシュタルト。とりあえず書き始めてたどり着くところは偶然の産物でしかない。

ゲシュタルト=部分の総和以上の全体ができることで、新たな概念や価値が生まれること。

苫米地さんが作ったシートに従って具体的にすすめかたを解説。例は日本のエネルギー政策。ここでは項目だけ。結論は7番目で、調べるのは11番目なんですね。
1テーマをきめる
2事実をあげる
3問題点をだす
4解決策をだす
5解決策の長所・短所をだして、方向性をかんがえる
6方向性を具体化する
7結論をだす(これまでの内容からゲシュタルトをつくる)
8抽象度をあげて、新たな課題をみつける
9事実を列挙し、より細かく考える
10-1さらに抽象度をあげる
10-2別の視点をとりいれる
11調べる
12抽象度をあげる
 長所・短所をあげる
 方向性を考える
 結論する


説得力があるためには論理が大切。とりあげられていたのはトゥールミンロジック。
三段論法は机上の空論。論の間に入る不確定要素がつみあがって現実世界では役にたたない。

トゥールミンロジックは実社会にあわせた論理構築法。

トゥールミンロジックの要素
 データ=事実
 ワラント=根拠
 クレーム=主張

データとクレームを結ぶワラントが大切。
ワラントの正しいことを支持する情報=バッキング(B論理)
バッキングが客観的なほどワラントは強い。

リザベーション(R論理)
クレームの例外のこと、あらかじめ例外をあげておくことで現実世界に近くなる。

クォリファイアー(Q論理)
クレームの相対的強度の定性的表現

トゥールミンロジックを使って、「こたつで寝ると風邪をひく」というお母さんの言葉を検証。


より狭い範囲の文章について

〇小論文のコツ
 NGなのはテーマに関係ないことをかいて文字数を稼ぐこと
 文字数を増やしたければ、用語を細かくわけ(それとわからないように)定義をかくとよい。
 テーマに関係したことがかかれていて、結論があればよい
 個人的体験がさらっと入っているとよいが、冒頭にあると個人的体験を書いているとおもわれるし、最後にいれると結論にかかってしまうので、なかでちょっとふれるとよい。

〇エントリーシートのコツ
 NG 素の自分をわかってもらう。自分をみつめて長所をさがす
 なりたい自分と、会社または業界の取りたい人材を兼ねるような人になりきる。そこから長所を探す。
 エントリーシートの問題は、心理テスト、知識の量、文章力をはかっている。なりきって回答することと、論理的に書くことを忘れずに。

〇新聞
 ジャーナリズムであるなら読者に新しい視点を与えないといけない。事実だけなら通信社だけでいい。

〇国語教育
 今の学習指導要領では教える内容がわからない。小学校低学年では単語(漢字ではない)を教え、やや高学年になったら文法(チョムスキーの自然文法)を教えるべき。

〇小説家になるなら
 小説の書き方から学ぼうとしているなら小説家になれない。小説家になる人は書きたいことがあって、書いているのが普通だから。
 書いているのに商業ベースにのらないなら、娯楽を意識してみよう。
 ストーリーはすでにギリシャ神話ですべてでつくしている。文体や表現が大事。
 それを育てるには、細かくしっかりと見て自分の言葉で表現する練習をする。自分や他人の心をよくみること
 たくさん読書して、これはと思った文章は暗唱できるくらい読み込むこと。

人を動かす[超]書き方トレーニング 劇的な成果が手に入る驚異の作文術



人を動かす「超」書き方トレーニング

人を動かす「超」書き方トレーニング

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2018/02/12
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タグ:苫米地英人
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